2023年卒大学生・大学院生の就職活動が終盤戦に入った。昨年(2021年)、一昨年(2020年)に比べ新型コロナが落ち着いたこともあり、企業側も若い人材確保に懸命だ。
そんななか、リクルートの就職・採用関連の研究機関「就職みらい研究所」が2022年7月8日、2023年卒大学生・大学院生を対象にした就活状況を調べた「2022年7月1日時点 内定状況」を発表した。
7月1日時点での内定率は8割以上、進路確定率も7割近くに達し、終盤戦の状況を呈している。ところで、今春卒業した大学生の就職確定先は「就活開始以前は知らなかった企業」が6割以上という調査もある。納得できる就職先に出会えるか、勝負はこれからだ。
理系9割、文系8割内定、IT系・製造業が早い
調査結果によると、就職内定率(大学院生を除く)は83.3%で、昨年(2022年卒対象)の同じ時点の80.5%に比べ、2.8ポイント上回るペースだ=図表1参照。理系が88.3%と、文系の81.2%を7.1ポイント上回っている。また、男性(84.3%)のほうが女性(82.3%)よりも内定率がやや高いことが目につく。6月12日時点では女性のほうが高かったから、追い込みで逆転した形だ。
内定取得先の業種をみると、情報・通信業が24.9%と、ダントツに高いことが特徴だ=図表2参照。ITスキルを持つ人材は、世界的に奪い合いが激しく、優秀な学生は早くから海外からも誘いの手が伸びる。次いで、製造業(機械器具以外、16.9%)、機械器具製造業(16.1%)、小売業(14.0%)、サービス業(13.4%)、金融・保険業(12.2%)と続く。製造業と小売業関連はコロナ禍が一段落したことで、業績好調の企業が多いことを反映しているようだ。
一方、すでに就職先の企業を決めた進路確定率も7割近い67.6%と、就職活動が終盤戦に入ったことがうかがえる=図表3参照。こちらも、昨年の同時点(65.6%)より1.0ポイント高い。就職確定先企業の業種をみると、やはり情報・通信業が22.3%と、ダントツに高い。次いで、製造業(機械器具以外、11.9%)、機械器具製造業(11.6%)、金融・保険業(10.4%)と続く。
「知らなかった企業」に入る学生、7月以降に半数確定
ところで、就職みらい研究所では興味深い調査を「参考データ」として提示している。それは、2022年卒の大学生が今年3月の卒業時点で、確定している就職先が「就職活動以前から知っている企業だったかどうか」を聞いた調査だ。
すると、なんと「知っていた企業だった」と答えた人は36.9%しかおらず、「知らない企業だった」と答えた人が63.1%もいたのだ=図表4参照。
また、就職確定先企業を就活開始前に知っていたかどうかの認知別に、どの時点でその企業に就職することを決めたかも聞いた。すると、知らなかった企業に行くことを決めた時期は、第1のピークが6月(2021年)、そして第2のピークが10月以降(2021年)となった=図表5参照。たとえ事前に知らなかった企業でも、その会社のよさに触れて納得して就職するかどうかは、今後の就職活動にかかっているわけだ。
だから、就職みらい研究所の栗田貴祥所長はこうコメントしている。
「周囲で就職活動を続ける人が減り、書類提出や面接を進める中で、納得できる就職先を決められるのか焦りや不安を抱いている方もいらっしゃると思います。2022年卒の学生では、約6割の方が『就職活動開始前には知らなかった企業』に入社予定で、そのうち約半数が7月以降に就職先を確定していました。就職志望の学生全体で見ても、4割超の学生が7月以降に就職先を確定しています。引き続き採用活動を実施する企業も多く存在します。厳しい暑さが続きますが、納得できる一社に出会えるよう、前向きに就職活動を進めていただきたいと思います」
こうエールを送っている。
調査は、2022年7月1日~4日、2023年卒業予定の大学生・大学院生を対象に、リクルートが運営する就活支援サイト「リクナビ」のモニターに登録した学生7632人(大学生6258人・大学院生1374人)にアンケートした。
(福田和郎)