定年を65歳に引き上げている企業、わずか21.1%
60歳定年を65歳に引き上げている企業は、わずか21.1%(中小企業21.7%、大企業13.7%)にとどまっている。また、中小企業よりも、雇用者数301人以上の大企業の方が高齢者雇用に対して後ろ向きであることがわかる。
さらに、定年を66~69歳に引き上げている企業(1.1%)では、中小企業1.2%に対して大企業が0.2%、さらに70歳以上に引き上げている企業(1.9%)では、中小企業2.0%に対して大企業は0.5%でしかない。
政府は2021年4月1日から、70歳までを対象として「定年制の廃止」や「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」といった雇用による措置や、「業務委託契約の導入」、「社会貢献事業に従事できる制度の導入」のいずれかの措置(高年齢者就業確保措置)を講じるよう努力を義務付けた。
だが、この70歳までの就業確保措置を実施済みの企業はわずか25.6%で、中小企業では26.2%、大企業では17.8%となっている。
実施措置としては、定年制の廃止は4.0%と60歳定年の廃止と同数なのは当たり前だが、定年の引上げは65歳までの雇用措置では24.1%だったのが、わずか1.9%にとどまっている。 継続雇用制度の導入は19.7%で、こちらも65歳までの雇用措置で71.9%だったのに比べると、大きく低下している。そのうえ、新たに導入された創業支援等措置はたったの0.1%に過ぎない。
こうした実態を見ると、企業の多くは高齢者雇用を法律で義務付けられているため、とりあえず対応している程度のものでしかないことがわかる。
一方で、生活保護を受給している高齢者世帯は、受給世帯全体の55.9%にあたる91万3456世帯にのぼり、毎月増加を続けている。
高齢者雇用が健全に進められなければ、生活保護に頼る高齢者は増加するばかりで、これは社会保障費の増大につながり、現役世代の負担を増加させることになる。