みずほ銀行はなぜ、何度もシステム障害を起こしたのか?

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「言うべきことを言わない」企業風土

   ようやく3時間後の午後1時に事態を把握。みずほ銀行の藤原弘治頭取が知ったのは4時間後で、それも社内連絡ではなく、偶然、ネットで流れたニュースを見たからだったという。

   著者の河浪さんは、「同社では経営トップにトラブルを矮小化して報告することが常態化していた」と書いている。のちに金融庁は、「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない」とみずほを批判したが、この危機発生時にもそうした企業風土が露呈したのだった。

   ここから過去のシステム障害に遡って検証が始まる。

   みずほ銀行は2002年4月1日の統合初日にも大トラブルを起こしていた。ATMで預金を引き出そうとすると、現金が出てこないまま、口座の残高だけが減ってしまう「悪夢のようなトラブル」が起きていた。旧富士銀行と旧第一勧銀の支店で互いのキャッシュカードが使えない事態も発生した。

   当初想定したシステムの一本化がされないまま、つぎはぎだらけのシステムでスタートしたのが原因だった。「不良債権問題に追われてシステム統合のコストを十分に捻出できなかった」という当時の関係者の証言を紹介している。

   そして、基幹システムの刷新は、先送りされることになった。預金業務などを扱う勘定系システムは第一勧銀が1988年に開発した「STEPS」を使い続けることになった。みずほOBは「化石のようなシステム」と称し、運用面でいくつもの落とし穴があったという。

   その1つが「口座の受入件数の上限」。2011年3月の東日本大震災の発生から3日たった3月14日には、テレビ局が呼びかけた義援金の振り込みが殺到して、処理ができずにパンク。未処理案件が溜まり、多くの有名企業で給与の振り込みが間に合わないトラブルになった。これが2回目の大システム障害。

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