「ぶっちゃけ、ずっと0円で使い続けられても困る」。2022年5月13日、楽天グループの三木谷浩史会長が「正直過ぎる発言」をして、楽天モバイルの新料金プランから「基本料月額0円」廃止を発表してから1か月半。
楽天ユーザーの3割近くが乗り換えを検討していることが、モバイル市場専門調査会社「MMD研究所」(東京都港区)が2022年6月30日に発表した「楽天モバイル0円廃止発表後の実態調査」でわかった。
楽天「0円ユーザー」はメイン利用で5割、サブで6割
調査は2022年6月10日~6月13日、18~69歳の男女2万5000人のうち、スマートフォン利用者2万2770人を対象にインターネットで行った。
まず、メインで利用している通信サービスを聞くと、「docomo」が29.4%、次いで「au」が19.0%、「SoftBank」が12.2%、「MVNO」(格安スマホ)が9.6%と続き、楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT」が8.2%と5位に入った=図表1参照。
サブで利用している通信サービスを聞くと、楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT」が20.0%とトップ。次いで「docomo」が18.4%、「au」が14.4%、「SoftBank」が9.9%という順番になった。やはり、基本料金「0円」の魅力が影響しているようだ=再び、図表1参照。
「Rakuten UN-LIMIT」は6月末まで月間利用データ容量が1GB以下の場合、基本料金「0円」を謳っていた。そこで、「Rakuten UN-LIMIT」の利用者の直近の月間利用データ容量を調べた。まず、メインとして使っているユーザー(1872人)に聞くと、「1GB以下」が半数近くの48.9%と最も多かった。ほかに「2GB~5GB」が22.1%、「6GB~10GB」が6.6%、「11GB~20GB」が9.1%、「21GB以上」が10.7%となった=図表2参照。
一方、サブ利用者(432人)は「1GB以下」が6割以上の62.8%と最も多い。そして「2GB~5GB」が9.9%、「6GB~10GB」が4.7%、「11GB~20GB」が3.5%、「21GB以上」が8.2%となった。また、「利用していない」が1割近い11.1%もいることが目立つ=再び、図表2参照。
調査結果を見る限り、三木谷会長が「ぶっちゃけ、続けられても困る」と言っていた「0円ユーザー」がメイン利用者で約5割、サブ利用者で6割超もいたわけだ。
「povo」への乗り換え人気は圧倒的、2位に4倍の大差
さて、7月から楽天モバイルの「0円プラン」廃止されたが、「Rakuten UN-LIMIT」のユーザーたちはどうするのか。今後の利用動向を聞くと、メイン利用者で「継続」と答えた人が65.4%、他社への「乗り換え」が29.0%、「解約を検討」が5.7%となった=図表3参照。
サブ利用者では「継続」が34.6%とメイン利用者に比べると減り、「乗り換え」が32.7%、「解約を検討」が32.6%という結果に。メイン・サブ利用ともに約3割のユーザーが他社への乗り換えを検討していることが分かった=再び、図表3参照。
では、どこに乗り換えるのだろうか。
乗り換えを検討しているユーザーに移行先を聞くと、メインユーザー(364人)の67.1%、サブユーザー(107人)の75.4%が乗り換える通信サービスをすでに決めていると回答。メインユーザーでは「povo」が36.8%と最も多く、2位のKDDIのサブブランド「UQ mobile」(9.1%)に4倍近い差をつけた。サブユーザーでも「povo」が44.0%と圧倒的な人気で、やはり2位のソフトバンクンのオンライン専用ブランド「LINEMO」(11.2%)の約4倍に達した=図表4参照。
どうして、「povo」は乗り換え先として人気があるのか。「povo」は2021年9月にサービスを開始した「povo2.0」になってから、月額「0円」を基本に各種のトッピングを組み合わせる料金プランに再編されている。
しかも、KDDIの高橋誠社長は5月13日の記者会見で、奇しくも同じ日に楽天の三木谷浩史会長が発表した「0円廃止」の件を聞かれ、「povo2.0と楽天モバイルとではサービスの性質が違う」「今のところ(基本料金0円を)止める理由はない」と答えて「0円」維持を明言しているのだ(なお、「0円」運用で続けるには、条件がある)。
もっとも、乗り換え先のダントツ1位に輝いたKDDIの「povo」だが、KDDIと言えば7月初旬、計86時間もの大規模通信障害を起こし、「povo」も3日間近くつながりにくい状態が続いたばかり。調査は通信障害以前に行われたとはいえ、乗り換え希望者にとっては「なんだかな~」とため息が出る結果になったかもしれない?
(福田和郎)