新型コロナウイルスの影響で中止されてきた各地のビアガーデンがこの夏、3年ぶりに続々とオープンしている。
ワクチン接種が普及し、感染状況も比較的落ち着いて、政府などから行動制限も求められていないことから、百貨店や飲料メーカーなどが相次ぎ再開に踏み切っている。
今年は梅雨明けが早く、猛暑の夏になるとみられており、ビールを片手に笑顔を取り戻す人も増えそうだ。
渋谷・東急本店のビアテラス、今年で「最後」も注目
「渋谷に夏が戻ってきた!」と呼びかけるのは、東急百貨店本店(東京都渋谷区)だ。名物の屋上ビアテラスを3年ぶりにオープンした。もともと、落ち着いた雰囲気が女性客を中心に人気で、今回は女性にも喜ばれそうな鎌倉野菜を使った上質なメニューなどを準備した。
同本店は老朽化と再開発により2023年1月で営業を終了するため、最後のオープンは何とか実現できたかたちで、長年のファンも足を運んでいるようだ。
夏の風物詩でもある、銀座の百貨店屋上のビアホールも営業を再開している。
松屋銀座本店(同中央区)が3年ぶりに開催に踏み切ったビアガーデンは、感染対策のため完全予約制だ。コロナ禍の中で深酒を慎み、「適量飲酒」の傾向が強まっているとして、アルコール度数が低い「微アル」やノンアルコールの飲料の種類も増やしている。
バーベキューができるビアガーデンも登場!
大阪ではオフィス街にある「サントリー屋上ビアガーデン」(大阪市北区)が3年ぶりの開催とあって、ビジネスパーソンらを集めている。
コロナ禍では感染予防のため家族や親しい友人とのバーベキューがはやったが、今回の同ガーデンのテーマは「都会の真ん中でキャンプ気分を楽しめる」。バーベキューのメニューを取り入れ、屋上のバーベキューは開放感が抜群、などとPRしている。
名古屋でも、本格営業としては3年ぶりという名鉄百貨店本店(名古屋市)をはじめ、ビアガーデンが次々と再開している。
同本店は密を回避するため、一つのテーブルには4人までしか座れないというルールを設けた。メニューには「韓国グルメ」などを用意して、女性客の取り込みも狙っている。
いずれの会場も、入り口に消毒液を準備したり、通常より席数を減らしたり、会話時にはマスクの着用を呼びかけたり、とさまざまな感染対策を行いながらの開設だ。
そもそもオープンスペースであるビアガーデンは飛沫感染、空気感染のリスクが減ることなどから、「お客様には屋内の飲食より安心感を持っていただいているようだ」(百貨店関係者)との声もある。
感染対策を考慮したうえで、あえてビアガーデンを選ぶ人も増えるだろうと、各社の期待は高まっている。(ジャーナリスト 済田経夫)