大切なのは「外側から見ろ」!
――ありがとうございます。インタビューの締めくくりとして、最後はちょっと角度を変えた質問をさせてください。思えば、丸田さんが、ボードゲームを世に広めたいと、「すごろくや」を立ち上げたのは30代半ばのことでした。J-CAST 会社ウォッチの読者層のボリュームゾーンにもあたるこの世代に向けて、キャリア/働き方へのアドバイスをするとしたら?
丸田さん「そうですね......。ぜひ、いろいろやってみたらいいと思います。よくあるケースは、いまいる所属先以外のところは怖いところだとか、ここ以外のところに行ったって......と内にこもりがちですよね。でも、その場所だけがすべてではないし、それこそ独立して違う道を行くことだってできます。その時、考えるべきは自分のことです。『自分が何をしたいのか』と『自分は何ができるのか』だと思います」
――丸田さんの場合はいかがでしたか?
丸田さん「私が『すごろくや』を始めたのは、自分がいちばんうまく展開できる自信があったからです。もしこれを自分がやらなかったら、自分がやったときの質を100%として、50~60%くらいでほかの誰かがいつかはやるだろう。そうなったときに確実に悔やむなら自分でやろう、と決めたのです。自分が持つ豊富なスキルを最大限に活かせるという意味でも、やはり適任ではないかと思いました。
そうそう。お花見の時なんて、隣の女の子たちの輪の中にいって、『これから僕は、オオカミのゲームを披露しようと思うんだけど、やってみない?』なんて話しかけてね(笑)。最初、相手は『えー、なにこの人?』となるけれど(笑)、5分後には打ち解けて、盛り上がっている。こんなふうに、開発者らしからぬ、人にボードゲームを楽しんでもらえる技術が自分にはあったし、ウェブサイトの構築や執筆、企画、イベント展開など、必要なすべてを高い水準でやれる自信があったからこそ自分がやるべきなんだろうな、と思ったのです」
――ボードゲームの魅力の語り手として、制作にたずさわるクリエーターとして、経営者として――丸田さんが大切にしている言葉はなんでしょうか。
丸田さん「『外側から見ろ』でしょうか。どうしても『思い込み』を外せないことで、問題解決ができないことが多い気がします。でも、思い込みを外して、違う視点から物事をとらえることで、解決に向かうことは少なくないと思います。
そのためにすべきが、『外側から見ろ』。これは大事にしています。仕事でも内輪の話だけで物事が進みそうになったら、一度、外側の視点から『それは正しいのか』『それは当たり前のことなのか』と客観視してみたらいいと思います。私も常に心掛けています」
――ありがとうございました。
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https://sugorokuya.jp/c/stand
【プロフィール】
丸田康司(まるた・こうじ)
株式会社すごろくや 代表取締役
1970年岐阜県生まれ、愛知県豊橋市出身。日本初のテレビゲーム開発者養成学校「HUMANクリエイティブスクール」の第一期生を経て、1991年よりSEDIC→APE→チュンソフト、と15年間テレビゲーム開発に従事。携わった代表作は『MOTHER2 ギーグの逆襲』『不思議のダンジョン 風来のシレン2 鬼襲来!シレン城!』『ホームランド』など。
その後、独立して、2006年4月に近代ボードゲーム・カードゲームの専門店「すごろくや」を設立。オリジナルゲームの企画制作、書籍の企画/制作/執筆、先進的なボードゲームイベントやボードゲーム制作のワークショップ、講座、教育対談の開催など、ゲームを主軸として活動する。