創造性=クリエイティビティーの価値を高めるために
――ボードゲームを取り巻く状況、それに対する『すごろくやスタンド』導入のねらいについて一通りおうかがいできたところで、今度は丸田さんにとってのボードゲームや、ゲーム全体の魅力をぜひ教えてください。
丸田さん「ボードゲームの魅力としては、『小さな社会』を運営していくことにある、と私は考えています。プレイするメンバー間の関係性において、そのゲームを成り立たせようとしていく感覚は、ボードゲームならではの面白さだと思います。
もっとも、一方では、そうしたチカラが日本では低くなっているかな、と感じたりもします。そういったチカラが低いから、近代ボードゲームが遊ばれにくいのかな、とも」
――どういうことでしょうか?
丸田さん「ルールの緻密さが際立った近代ボードゲームで遊ぶには、まずはルールを読み解いて、それにもとづく整合性をプレイヤー同士で確認し合い、補完し合うことが必要です。
たとえば、みんなでルール解読に行き詰まったら、『説明書(ルールブック)にはこう書かれているということは、論理的に考えてこうだから、こういう解釈でゲームを進めていこう』などと話し合って進めていきます。
こういった合意形成が必要なことも、『小さな社会である』という意味です。しかし、このように全員が納得できる合意をとって物事を進めることが、苦手な人がいまは多い印象がありますね」
――日本は欧米に比べて、そういったことに慣れていないのかもしれませんね。もっとも、さまざまなワークショップ――ルールの読み解き教室、ルールの読み聞かせ教室など(現在は休止中)を通じて、ボードゲームの魅力発信や普及に努めてきたのが「すごろくや」でした。
一方で、もう少し視点を広げて、ゲーム全体としての魅力はどんなところでしょうか?
丸田さん「ひとつには、コミュニケーションが挙げられると思います。ボードゲームはもちろん、テレビゲームもそうですが、みんなでワイワイ言いながらやると面白いし、子どもの頃などは学校で『あのゲーム、どこまで進んだ?』と会話するのは楽しいものですから。
もうひとつ、プレイヤーが創造性=クリエイティビティーを発揮できるところも魅力です。ボードゲーム含めあらゆるゲームの面白さは、『自分で解決方法を発明すること』だと思います。言い換えれば、『自分で考えてうまくいくから面白い』。たしかに、勝った負けたは目標としてはあるけれど、ゲームが楽しい瞬間は、『自分はこんなことを思いついてやってみた。その通りの結果になった。やったー』。そこですよね。
というわけで私たちは、多くの人の創造性=クリエイティビティーの価値を高められる、自社でのボードゲーム制作、海外製ボードゲームの日本展開(海外説明書の翻訳、日本語版説明書制作など)に取り組んでいます」