景気は本当に回復途上? 日銀短観6月調査を深読み エコノミストが警戒...今そこにある「歴史的物価高」の危機

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場当たり的物価対策ではなく、今こそ成長戦略を

原油価格の高騰も打撃だ(写真はイメージ)
原油価格の高騰も打撃だ(写真はイメージ)

   こうして読み解いていくと、「物価高対策」が今後のポイントになりそうだが、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏は、リポート「強まる物価高が国内景気の逆風に(日銀短観・6月調査)」のなかで、政府と日銀に連携した骨太の物価高対策を訴えている。

「物価高によってとりわけ打撃を受ける企業、個人を見つけ出し、それらをピンポイントで支援するような施策がより重要となるのではないか。(中略)多くの世帯を対象に配る給付金は、財政負担が大きい一方で、本当に支援が必要な個人に十分な支援が及ばないため、妥当ではない。また、必要に応じてセーフティネットの制度を見直すことも重要であり、社会保障受給の所得基準や所得税率などについて、物価連動制度を広げていくことも一案なのではないか」
「政府には、場当たり的な物価対策ではなく、成長戦略を一段と推進することで、経済の潜在力を高め、賃金が上昇する環境を整える政策にも注力して欲しい。出生率の上昇、外国人労働力の活用拡大、インバウンド戦略の再構築など『人』に関わる成長戦略を強化して、デジタル田園都市国家構想、東京一極集中是正、地域経済活性化などの政策と組み合わせることで、日本経済の潜在力向上を図って欲しい」

   と強く求めている。

(福田和郎)

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