記録的なコスト高を受けて価格転嫁どんどん続く
一方、大企業・製造業の仕入価格と販売価格の指数の差に注目したのが、ニッセイ基礎研究所上席エコノミストの上野剛志氏だ。
上野氏のリポート「日銀短観(6月調査)~大企業製造業の景況感は2期連続で悪化、記録的なコスト高を受けて価格転嫁が続く見込み」(7月1日付)では、大企業・製造業の仕入価格判断指数と販売価格判断指数の推移のグラフを示した=図表1参照。
図を見ると、仕入価格と販売価格ともに急激に上昇している。今回、やや差は縮まったとはいえ、仕入価格のほうが販売価格より高い水準にあることがわかる。上野氏はこう説明する。
「今回特に注目された仕入価格判断DI(指数)は大幅に上昇し、(42年ぶりの)歴史的な水準に達している。販売価格判断DIも大幅に上昇したものの、企業の採算は厳しい状況が続いている。従って、採算の改善に向けて今後も販売価格の引き上げを続けるとの見通しが示されている」
仕入価格が上昇すれば販売価格も上げなければ企業は採算が取れず、今後、仕入れ価格の上昇につられて物価がどんどん上がるというわけだ。