よく行くあのお店が「ボードゲーム売り場」に? ひそかな注目、新提案「すごろくやスタンド」ってなんだ!【前編】/すごろくや代表の丸田康司さんに聞く

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ボードゲーム販売には、店舗と接客が絶対必要

――ボードゲームを手に取るきっかけづくりはひとつポイントですね。それに関連して、すごろくやでは2022年春、新しい販売展開の仕組みを導入したそうですね。

丸田さん「はい。それは、それぞれのお店(小売店)や施設に置くだけで、ボードゲーム専用の商品棚をつくることができる『すごろくやスタンド』です。
私たち『すごろくや』側が、お店に対し、20品目の商品(ボードゲーム)、商品棚、商品札などを一式提供します。そして、それぞれのお店でボードゲームを販売するかたちになります。いまのところ、試験的に4店舗が導入。たとえば、いま、宮崎県のお肉屋さんの一角で、ボードゲームが売られています。
『すごろくやスタンド』を設置するだけで、いわば、小型のボードゲーム売り場となるわけです。ラインアップは、人気があって定番のものから、打ち出したいカラーや好みによっても取り扱う商品をカスタマイズできます(※ただし、すごろくやで扱うボードゲームに限る)」

――こうした新しいボードゲーム販売のスタイルを取り入れた背景について教えてください。

丸田さん「いくつかのねらいがあります。なかでも、まず挙げたいのは、さきほども『すごろくや』を立ち上げた時、最初に店舗を構えたという話にも通じますが、ボードゲームを販売するには、人と人が接する場――店舗は欠かせないものだと私は考えています」

――あらためて、それはどうしてでしょうか。

丸田さん「ボードゲームという商材は、例えるなら、一度も劇場公開されたことのない映画がDVD/ブルーレイとなって売られているようなものです。そんな知られざる作品を、一人でお店に行って、パッケージだけ見て選びようがあるでしょうか。評判もわからずに買うかどうか判断するのは、けっこうハードルが高いと思います。
そう考えると、お客さんと店員のコミュニケーションが大事。映画の例で続けるならば、お客さんが『これって、どういう作品ですか?』と聞く。すると、知識を持った店員が『こういう映画ですよ』とか、『あなたが好きなジャンルは? そのジャンルが好きなら、こういうものもあって、きっと気に入ると思いますよ』とやりとりすることが判断材料になるわけです。
ボードゲーム選びも、まさしくこれと同じだと思います」
ボードゲーム初心者にすすめたいのは、「ナンジャモンジャ」「イチゴリラ」「ディクシット」「カルカソンヌ」と丸田さん。さらに、イチオシは「ドラゴンをさがしに」「ガイスター」
ボードゲーム初心者にすすめたいのは、「ナンジャモンジャ」「イチゴリラ」「ディクシット」「カルカソンヌ」と丸田さん。さらに、イチオシは「ドラゴンをさがしに」「ガイスター」

――たしかに、知識の豊富なエキスパートのサポートがあったり、おすすめしてくれたりしたら、ボードゲーム初心者も買いやすくなりそうです。

丸田さん「しかも、誰もが気に入るボードゲームは意外となくて、それぞれの人の好みが分かれるものです(そういう意味でも、映画に似ていますね)。あるいは、このメンバーで遊ぶとこのゲームは面白いけれど、他のメンバーでは全然、ということも......。そうしたミスマッチが起きず、ボードゲームを楽しんでもらうためにも、エキスパートがいるお店として『すごろくや』の店舗をもっと全国に拡大したい野望は常にあります。しかし、これはなかなか課題も多く、一気に広めるような展開は難しいのです。
そこで、ボードゲーム販売に興味のあるお店や施設に、『すごろくやスタンド』を提供して、それぞれのお店で販売する今回の仕組みを考えたのです」

   それぞれのお店の一角でボードゲームを販売するこのスタイルは、お店の数だけ、全国に広められる可能性が――。<よく行くあのお店が「ボードゲーム売り場」に? ひそかな注目、新提案「すごろくやスタンド」ってなんだ!【後編】/すごろくや代表の丸田康司さんに聞く>に続きます。
   【後編】では、丸田さんが独立したころにも話が及びました。働くうえで丸田さんが大事にしている言葉とは? こちらも注目です!

●すごろくやスタンドの詳細/問い合わせはこちらのウェブサイトから。
https://sugorokuya.jp/c/stand



【プロフィール】
丸田康司(まるた・こうじ)

株式会社すごろくや 代表取締役

1970年岐阜県生まれ、愛知県豊橋市出身。日本初のテレビゲーム開発者養成学校「HUMANクリエイティブスクール」の第一期生を経て、1991年よりSEDIC→APE→チュンソフト、と15年間テレビゲーム開発に従事。携わった代表作は『MOTHER2 ギーグの逆襲』『不思議のダンジョン 風来のシレン2 鬼襲来!シレン城!』『ホームランド』など。
その後、独立して、2006年4月に近代ボードゲーム・カードゲームの専門店「すごろくや」を設立。オリジナルゲームの企画制作、書籍の企画/制作/執筆、先進的なボードゲームイベントやボードゲーム制作のワークショップ、講座、教育対談の開催など、ゲームを主軸として活動する。

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