よく行くあのお店が「ボードゲーム売り場」に? ひそかな注目、新提案「すごろくやスタンド」ってなんだ!【前編】/すごろくや代表の丸田康司さんに聞く

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   えっ、お肉屋さんの一角に、ボードゲームが売っているの?! ユニークな「ボードゲーム売り場」づくりが注目を集めそうだ。この新しい販売展開の仕組みを広めようとしているのは、ボードゲームの総合企業「すごろくや」。

   ボードゲーム販売は人と人が接する場が欠かせないこと。そして、とくに地方では販売場所が限られることなどから、それぞれのお店(小売店)に売り場を設置するスタイルに着目したのだという。

   このアイデアの生みの親は、「すごろくや」代表の丸田康司(まるた・こうじ)さん。今回、元テレビゲーム開発者として名の知られていた丸田さんが「すごろくや」を立ち上げた経緯に始まり、「すごろくやスタンド」と名付けられた今回の仕組みのねらい、ボードゲームやゲームの魅力について、じっくり話をうかがった。

  • 「すごろくや」代表の丸田康司さん。「すごろくやスタンド」とともに
    「すごろくや」代表の丸田康司さん。「すごろくやスタンド」とともに
  • 「すごろくや」代表の丸田康司さん。「すごろくやスタンド」とともに

コロナ禍で広まったワードゲーム、知的好奇心くすぐる近代ボードゲーム

――国内最大のボードゲームの祭典「ゲームマーケット」がこの春も盛況で、根強い人気のボードゲームの世界。2006年の創業以来、ボードゲーム業界を盛り上げているのが「すごろくや」です。
もともとはテレビゲーム開発者だった丸田さんがボードゲームと出合い、そして、独立して「すごろくや」を立ち上げたきっかけは何だったのでしょうか?

丸田康司さん「私がテレビゲーム制作にたずさわり始めた1990年代前半、20代の頃から、当時の開発メンバーとはよく、ドイツ系の近代ボードゲームを遊んでいました。テレビゲーム制作の参考にもしていたのです。近代ボードゲームを遊ぶには、戦略や推理力、プレイヤー間の交渉などが必要です。大人同士がじっくり考えながらプレイするその面白さ、凄みには驚いたものでした」
丸田さん「それから、30代半ばで、勤めていた会社の事情などが重なり、自分としてやりたいことは何か、あらためて考える時期がありました。その時に、ボードゲームを世に広める仕事をしたいと思い、2006年に創業したのが『すごろくや』です。
まずは店舗を構えることが必要だと考え、東京・高円寺に出店しました。店舗を基軸として、総合的なボードゲーム事業に広げていこう、というねらいがあったからです。高円寺に店を構えたのは、新しいものが好きで『感度の高い』お客さんをねらってのことでした。
その後は、自社でオリジナルボードゲームの制作、海外ボードゲームの日本展開にも取り組むようになり、2010年には会社化しました。いまは『ボードゲームの総合企業』として、メーカー兼販売店舗兼イベント運営など、ボードゲームにまつわる、あらゆる活動に取り組んでいます」

――「すごろくや」が扱うボードゲームにはどのようなジャンルがありますか。また、ボードゲーム市場のトレンドを教えてください。

丸田さん「ボードゲームは、ひとくくりにはできず、ものすごく幅が広いものです。たとえば、小さい子どもでも手軽に遊べる玩具系のゲームから、近代ボードゲームに代表されるプレイヤー同士が知的な戦略を戦わせるものまでさまざまです。トレンドについて大まかに言うと、手軽に楽しめるワードゲーム(カードに記されたお題や他者の感性にもとづいて言葉で楽しむゲーム)の認知は高まってきていますが、大人がじっくり遊ぶゲームについてはまだまだ。
市場に関しては、新型コロナウィルスの影響で発令された1回目の緊急事態宣言があった2020年春頃は、ボードゲームが『すごもり需要』で注目され、業界全体としても売れ行きは好調でした。しかし、その継続は間もなく失速したところがあります。それまで近代ボードゲームに触れたことがなかった人が買ってくれたのはよかったものの、一度買うと長く遊べるので、他のボードゲームや新作まで好んで追いかけるほどの定着はしていないためでしょう」
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