普段使いには十分だが、気になるのは長距離ドライブ
ただし、問題は、実際にサクラやeKクロスEVを購入した後のユーザーの評価だろう。いずれもリチウムイオン電池の容量は20キロワット時で、満充電当たりの航続距離(WLTCモード)は最大180キロだ。
新型軽EVの充電時間は、電池容量の80%まで急速充電で約40分。同100%まで普通充電で約8時間かかる。近所の買い物や毎日の通勤に使い、帰宅後に自宅で充電できるのであれば、不満はないだろう。
しかし、マンションなど充電設備がないユーザーは、近所で充電スタンドを探さなければならない。週末のショッピングセンターや自動車ディーラーの急速充電器は、時間帯によって渋滞することもあり、不便さを感じることだろう。これから日本でもEVが増えるのであれば、なおさらだ。
航続距離180キロでは、高速道路を走行するような長距離ドライブは使いにくい。それでも、軽EVをセカンドカーとして使うのであれば、家族との長距離ドライブはファーストカーに任せればよい。
電池の劣化という問題もある。EVを10年以上使えば、リチウムイオン電池の航続距離が短くなるなど、不都合が生じるだろう。ただ、この点も近距離移動のセカンドカーであれば、さほど不便さを感じないかもしれない。
その意味で、軽のEVをセカンドカーとして使うメリットはありそうだ。日産が主張するように、ユーザーの使い勝手しだいでは、ガソリン車の軽を凌駕するゲームチェンジャーとなる可能性がある。
果たして、日産と三菱自の軽EVの快進撃は続くのか。最も脅威を感じ、販売動向を気にしているのは、スズキやダイハツ工業など軽のライバルメーカーに違いない。(ジャーナリスト 岩城諒)