2022年7月2日から発生している携帯電話大手KDDI(au)の大規模な通信障害は、3日後の7月4日午後になっても音声通話がつながりにくい状態が続いており、完全復旧に至っていない。
KDDIでは、通信障害で最大約3915万回線が影響を受けたと発表した。電気事業法では通話が1時間以上止まり、3万人以上が影響を受けた場合を「重大事故」と規定しているが、今回の事故はケタ外れだ。
インターネット上では、怒りの声とともに、あらためて「通信」なしでは生きられなくなった我が身を反省する声も聞かれた。
KDDI社長の携帯もつながらず、4時間後に出社
携帯大手のKDDIは、ホームページ上に1時間ごとに「障害・メンテナンス情報」を公開しているが、2022年7月4日午後3時現在、「全国的にデータ通信はおおむね回復しています。(中略)音声通話がご利用しづらい状況が継続しております」としている。
これまで携帯電話大手の通信障害は、2012年2月にKDDI(影響者数約615万人)、2018年12月にソフトバンク(約3060万人)、2021年10月にNTTドコモ(約1290万人)と3回起こっている。過去の事例では、NTTドコモが復旧までに約29時間かかったが、他の2社は1時間~4時間半で復旧しており、今回のように3日間もかかるのは初めてだ。
報道をまとめると、7月3日に記者会見を行ったKDDIの高橋誠社長の説明によると、通信障害が起こったのは2日午前1時半ごろ。通信ネットワークの管理のため、機器の交換をしたことがきっかけ。音声通信が約15分間不通となった。復旧しようとすると、再接続を求めるアクセスが交換機に集中、全国で回線が渋滞する「輻輳」(ふくそう)現象が起こった。
高橋社長自身、記者会見で、
「午前2時ごろに障害の情報が届いたが、今回、私の端末自体も(電波が)届きにくかったので、連絡を取りあったのが午前4時から5時の間。そこから急きょ本社にかけつけ対応に当たった」
と述べているから、自分のスマホにもなかなかつながらず、対応が大幅に遅れたわけだ。危機管理の甘さが指摘されるのも無理はないだろう。