自己PR動画の提出求められる「Web選考」、どう乗り切ればよいか?

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

   人生のターニングポイントになるかもしれない就職活動。コロナ禍ですっかり定着したのが、Web選考だ。これをいかに突破するか、悩んでいる人もいるだろう。本書「Web選考は『準備』が9割!」(自由国民社)を読むと、リアルな面接が行われていたコロナ前とは様変わりした就職戦線の様子が浮かび上がってくる。

「Web選考は『準備』が9割!」(田中亜矢子著)自由国民社

   著者の田中亜矢子さんは、社会保険労務士事務所サン&ムーン代表。1981年生まれ。愛知教育大学卒。岡崎信用金庫に入り、営業店の後、人事部へ。採用活動では延べ5000人の学生と接した。

   2017年、人事の研修講師として独立。延べ10000人の受講生に教えてきた。18年には社会保険労務士としても独立。キャリアコンサルタントとして学生のキャリア・就活相談にもあたっている。

自己PR動画は最初の15秒が勝負!

   Web選考を考える前に、まずは人事担当者側の視点について書いている。人事担当者は応募者が多いため、まずエントリーシートを見て、人数を絞り込む。その際のNGポイントは

・丁寧に書いておらず、漢字の間違いが多い
・鉛筆の下書きを消していない
・空白が多い

などだ。一見して、「雑さ」や「気のなさ」を感じると、そのエントリーシートは読む気にもならないという。採用活動では、「一緒に働きたいと感じるかどうか、現場でうまくなじめるかどうか」を推測して選考を進める。

   最近、自己PR動画が重要視されているのは、エントリーシートよりも、「人材の見極め」がしやすいからだ。文字や写真だけでは把握できない人柄や雰囲気が、動画では伝わりやすいという。

   とはいえ、動画の視聴はエントリーシートを読むより、はるかに時間がかかる。1人1分としても、数千人が応募していれば、何百時間にもなる。だから、パッと見た瞬間に「これはダメだ」と思えば、そこで終わりだ。最初の15秒が勝負だ、と田中さんは強調している。

   次に、内容以前にNGが出されてしまうのは、以下の5点。どれも社会人としての常識があればクリアーできることだ。

・清潔感のない服装や髪型、メイクをしている
・動画の背景に散らかった部屋が写っている
・周囲の雑音が入っていて、声がよく聞こえない
・映像が暗くて、表情がよく見えない
・視線が定まっておらず、明らかに原稿を読んでいる

Web選考に必要な事前準備のあれこれ

   Web選考を通過するための事前準備が大切だ。必要な機材を4つ挙げている。

・パソコンからスマートフォン
・カメラ
・ライト
・マイク付きイヤホン

   ライトがあるとないのとでは相手に与える印象に大きな差が出るので、用意するよう勧めている。照明の色は3種類あるが、自然な光の色である「昼白色」が、顔を自然に照らしてくれるので、お勧めだという。

   環境も大事だ。Web面接や動画撮影をする場所は自宅が理想だが、難しい場合もあるだろう。その際は、コワーキングスペース、レンタルスペース、大学の空き教室などが使える。

   選考の「生命線」になるのがネット環境だ。事前にインターネット回線の速度を調べておく。面接で使うようなWebサービスを利用する場合、20Mbbsくらいは必要だ。撮影の際の注意点は

・顔が暗くならないようライティングに注意する
・上から目線にならないように構図やアングルに配慮する
・背景は白色がベスト

で、気を付けておこう。

   自分を整えることも重要だ。身だしなみは対面接と同様に清潔感を心掛ける。面接官が最も重視するのは「表情」なので、笑顔を心掛ける。

   さて、実際の自己PR動画を作るうえで、コンテンツ作成の3つの鉄則を示している。

1 コンテンツを作成する前に頭に設計図を思い浮かべておくこと
2 採用担当者の心を動かすエピソードトークを作成すること
3 わかりやすい文章構成の型を使うこと

   企業側が「受け入れられる」志望動機をテンプレートに従って、述べればいいという。ほとんどの企業が、1分程度の動画を希望している。また、編集は基本的にNGのケースが多いことも知っておいた方がいいだろう。フリップや小道具の使用は可能だ。

Web面接でのポイント...第一印象は表情で決まる!

   いよいよWeb面接まで進めば、以下のことを心がけよう。Web面接の第一印象は表情で決まる。評価項目は対面接と同じだが、リラックスし過ぎていないか、声の大きさは大丈夫か、などの注意点があるそうだ。

   本書はWeb選考関連だけでなく、適職を知るための自己分析と他己分析、失敗しても凹まない就活に役立つ心理学などの章もあるので、就活全般に活用できそうだ。

   評者も、エントリーシートの下読み、論文の採点、一次面接官、集団討論の採点、部門内での順位付けなど、一通りの採用活動にあたった経験がある。

   採用の基本線は変わらないものの、ペーパーや対面接だけよりも、自己PR動画を見れば、かなりの情報がわかるため、企業がWeb選考を重視することは十分理解できる。コロナが終息しても、この流れは変わらないだろう。

   就活にあたる学生の負担は増えるが、この先生きていくうえで必要なスキルだと思い、努力するしかないだろう。Web選考を拒否することはネット社会で生きることを拒否するようなものだから。

(渡辺淳悦)

「Web選考は『準備』が9割!」
田中亜矢子著
自由国民社
1375円(税込)

姉妹サイト