円安は進むが「日本人は自信を取り戻すべき」...ストラテジストがこう語る理由

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

狙い目は「世界トップシェアの日本企業」

   ところで、日経平均株価が4万円になる日は近い、と武者さんが考える根拠とは何か。

   長期拡大の米国景気は3年間隔の小サイクル発生が継続していること、米中経済戦争で日本が漁夫の利を得ること、売り込まれた日本株も過去のパターン通りなら本格的に反騰すること、などを挙げている。

   狙い目は「世界トップシェアの日本企業」だ。

   有望な投資対象として推奨する意図はないとしながら、日本が世界に誇るオンリーワンの部品や素材を作っている企業を紹介している。

   たとえば、液晶や有機ELなどディスプレー関連では、東洋紡がフィルムや接着・コーティング剤、フィルターなどを製造。液晶ディスプレー向け偏光保護フィルムで世界シェアを独占している。

   また、富士フイルムホールディングスの液晶ディスプレー向けワイドビューフィルムや、日本ゼオンの大型液晶ディスプレーの位相差フィルムも市場を独占している。

   半導体関連では、信越化学工業がシリコンウエハーの製造で世界の頂点に立っている。このほか、日化精工、東京応化工業、三井金属などの会社を挙げている。これら多くのオンリーワンは、究極の隙間産業で、ブルーオーシャンが広がっているという。

   円安についても言及している。昨年、BIS(国際決済銀行)が公表した日本円の「実質実効レート」が50年前の水準にまで低下したことを嘆く報道がされた。しかし、武者さんは「逆に日本の優位性が高まった」と考えている。

   日本企業の価格競争力は過去30年間で最も高まっているのが現実で、海外生産にシフトしている企業において円安のメリットは、海外現地法人が獲得した利益の円換算額の増加として表れるという。今後のさらなる業績向上はほぼ確実で、賃金上昇へ結びつく、と期待している。

   分配政策を掲げた岸田政権だが、このほど閣議決定された「骨太方針」では、「資産所得倍増」に言及。少額投資非課税制度(NISA)や個人型確定拠出年金(iDECO)の拡充を念頭に置いている。日本株に国内の個人投資家の関心が集まるのか、注目される。

(渡辺淳悦)

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