時短勤務の人が出張したい、と立候補 「出張する余裕あるなら普段の仕事も...」上司発言は正論か「差別」かどうかで大激論...専門家に聞いた(1)

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   職場のチームに出張のミッションがくだった。行き先は観光地、翌日は休日となり、観光地で遊べる「美味しい出張」だ。

   職場のチームに出張のミッションがくだった。行き先は観光地、翌日は休日となり、観光地で遊べる「美味しい出張」だ。

   立候補したのが5歳の子を持つ時短勤務の女性。普段、同僚から仕事のフォローを受けている。上司が「出張に行く余裕があるなら、普段の仕事も調整してもらえますか」と言うと、その女性は「時短だからって仕事(出張)をさせてもらえないのは差別」と人事課に駆け込んだ。一方で、メンバーの一人は「尻ぬぐいはもうたくさん」と憤っている。

   炎上気味なこの投稿、上司のこうした言い方は「差別」になるのか。時短勤務のあり方を専門家に聞いた。

  • 「時短の差別」に憤る女性(写真はイメージ)
    「時短の差別」に憤る女性(写真はイメージ)
  • 「時短の差別」に憤る女性(写真はイメージ)

「時短だからと仕事(出張)させないのは差別」と人事に駆け込む

   話題になっているのは女性向けサイト「発言小町」(2022年6月6日付)に載った「時短をとっている人の出張」というタイトルの投稿だ。こんな書き出しで始まる。

「先日、他県出張の仕事が私のチームに依頼されました。ここ数年はコロナのため県外出張がなく久しぶりの出張となります。仕事内容は近県の営業所の打ち合せですが、(中略)出張先は観光地でもあり、翌日は休日です」
自分勝手な同僚のフォローはしたくないな(写真はイメージ)
自分勝手な同僚のフォローはしたくないな(写真はイメージ)

   時間的に日帰りは難しく、実質休日になる翌日分の出張費も出るという「美味しい出張」なのだった。チームのメンバーはチーフも含めて5人。立候補者を募るのと、いち早く手を挙げたのがAさんだった。5歳の保育園児を持つ時短勤務の女性である。

   そこで、チーフが「時短を取っている方に遠方の出張は負担でしょうから、他の人でお願いします」と言うと、Aさんは「時短だからって仕事をさせてもらえないのは差別」と引かない。チーフは「それでしたら、Aさんのルーティンが時間切れで回らず、ほかの人がやらなくてはならない時も調整してもらえますか」と応じた。

   すると、Aさんは人事課に駆け込んだ。チームのメンバーがひとりずつ人事課から「事情聴取」された。投稿者はこう憤るのだった。

「私は、Aさんができなかった仕事を割り振られる側です。この一件で、『子育てに協力しよう。残業は仕方ない』という気持ちが激減しました。(中略)子育て経験者のBさんは『(Aさんは)出張にかこつけて一休みしたいのだと思うよ』と発言、Cさんは激怒して『もうAさんの尻ぬぐいはしない』と発言しました」

   そして、「皆さんの場合ならどう思われますか」と訴えるのだった。

「出張に行ける余裕あるなら、毎日の仕事もっとやってよ」の声

出張先ではちゃんと打ち合わせができるのに(写真はイメージ)
出張先ではちゃんと打ち合わせができるのに(写真はイメージ)

   この投稿には、時短勤務のAさんに対し、「時短を特権と誤解している」「出張を観光旅行と勘違いしているのでは」といった批判が相次いだ。

「都合が悪いと『時短勤務』を盾に取るくせに。何が差別かよくわかりません。出張を社員旅行と勘違いしているだけじゃないか。こんなこと言われてひるむようなチーフがだらしない。出張はあくまで業務命令。人選が不当な差別には当たらないのに、個人の主張に屈してどうする?」
「Aさんの日々の仕事に対しての周りの評価なのでしょうね。出張に行けるぐらい余裕があるなら、毎日の仕事ももっとやってよってことでしょう。逆に時短でも周りがAさんの仕事振りを評価していたら、文句は言われなかったはず。人事課に駆け込む行為も理解できません」
「昔、似たようなことがありました。子育て中で1週間続けて休むことがある時短の女性が『誰かのフォローとか、簡単な仕事ばかり回されてつまらない』と訴えたのです。それで、男性上司がまあやらせればいいか、自分がフォローするし、と。冬場に新幹線距離の出張が決まった。でも、直前に子供が熱を出して、出張前の2日間は出社せず。出張当日は参加して(日帰り)翌日からまた、しばらく休む。それで懲りたかと思えばそんなことは全然なくて、翌年また、同じ感じで出張していました。もちろん上司がフォローしました」

「時短だって、事前にわかっている出張には対応できる」の声

私だって出張したかったのに(写真はイメージ)
私だって出張したかったのに(写真はイメージ)

   しかしその一方で、「なぜ時短の人が出張に行ってはいけないのか」と時短女性に共感を寄せる声も少なくなかった。

「子育てのために、時短を取っている。でも、出張には行きたい。別になにも変ではありません。その出張先で、今後の仕事に自分にとって有利なことがあるかどうかなんて、誰にもわかりません。私はAさんの働き方に賛成。会社が認めている時短の中で、できるだけ自分の働き方を求めたっていいじゃない」
「私も、時短を取っている時に泊まりの出張に行きましたよ。一番の適任者が対応するのが一般的で、それがAさんならAさんが行くべきだと思います。(中略)わざわざ時短云々を持ち出して、事を荒立てなくてもいいのに。ましてや、『出張に行くなら、忙しい時は対応しろ』なんて、チーフ(管理者)として悪手の極みでしょう。人事課に駆け込まれても仕方ないと思います」
「私も時短勤務していたこともあり、その間も出張も、計画的な残業もしていました。(数日前までにわかる予定には)夫に早く帰ってもらったり、少し離れて住む親に来てもらったりできます。なので、Aさんの事情も分かる気はします。基本的には時短勤務とはいえ、事前にわかっている出張には対応できる、という理屈はわかります。出張にかこつけて一休みしたい気持ちもまあわかります」

   今回の時短勤務女性の働き方の話題について、さまざまな意見が寄せられています――。<時短勤務の人が出張したい、と立候補 「出張する余裕あるなら普段の仕事も...」上司発言は正論か「差別」かどうかで大激論...専門家に聞いた(2)>に続きます。

(福田和郎)

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