話題の「令和4年版 男女共同参画白書」を読む(2)...シングルマザーは早くに結婚、出産、離婚傾向 母子家庭の「経済的苦境」も課題(鷲尾香一)

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平均年間就労収入...父子家庭398万円、母子家庭200万円

   そこで、シングルマザーになった年齢別に最終学歴を見ると、「20代でなった人」は中学校・高校卒が圧倒的に多く、全体の73.8%を占めている。

   中学校・高校卒の比率は年齢が高くなるほど減少する傾向にあるものの、それでも「30代でなった人」では61.9%、「40代でなった人」でも56.1%と、それぞれ半数以上を占めている。高校卒業までの学歴の女性に、シングルマザーになる傾向が強いことがわかる=表3

   母子世帯は経済的に苦境に立たされるケースが多いが、シングルマザーになった年齢別に現在の就業状況を調べると、「20代でなった人」では正規雇用が31.9%、非正規雇用が35.5%とほぼ拮抗している。

   これに対して、意外なことに「30代でなった人」では正規29.5%、非正規42.4%。「40代でなった人」では正規31.6%、非正規46.9%と、非正規雇用が正規雇用を大きく上回っている=表4

   この非正規雇用者が多いという傾向が、母子家庭が経済的に苦境に立たされる一因になっている。

   父子家庭と母子家庭を比較すると、就業率は父子家庭が85.4%、母子家庭が81.8%とそれほど大きな差はないものの、就業状況では父子家庭の89.7%が正規雇用なのに対して、母子家庭では47.7%にとどまっている。

   これが、平均年間就労収入で父子家庭が398万円なのに対して、母子家庭が200万円と低額にとどまっている一因だ。加えて、養育費を受け取っている母子家庭はわずか24.3%しかないことも、経済面で苦境に立たされる大きな要因でもある。

   ひとり親という点では、父子家庭も母子家庭も同じはずだが、一般的に母子家庭の方が経済面で厳しい状況にあることを考えれば、シングルマザーの雇用の安定、正規雇用の促進などの施策を積極的に進めていく必要がある。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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