欧米に「逆経済制裁」科すプーチン大統領 バックに途上国の共感が...でも、経済面で「中国の半植民地になる」とのエコノミスト指摘

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ロシアが戦争から得るのは中国との「腐れ縁」?

ロシアは経済面で中国の植民地に?(写真は地球儀のイメージ)
ロシアは経済面で中国の植民地に?(写真は地球儀のイメージ)

   欧米諸国や日本がプーチン大統領に振り回される構図になっているわけだが、ところでプーチン大統領はこの戦争はいつまで続けるのだろうか。

   双日総合研究所チーフエコノミストの吉崎達彦氏は「溜池通信:ロシアへの愛をこめて~ウクライナ戦後への思考実験」(6月10日付)というコラムの中で、ナポレオンやヒトラーを撃退したロシア(ソ連)は何が起こっても負けないだろうという。

「考えれば考えるほどロシアの先行きは暗いけれども、『何があっても確実にロシアに残るもの』も少なからず存在する。例えば以下のような要素である」
(1)広大な国土(地球上の陸地面積の6分の1を占める)
(2)地下資源(ただし効果的に使えるかどうかは不明)
(3)安保理常任理事国のステータス(拒否権は永遠なり)
(4)膨大な量の核兵器

   そして、軍事アナリスト小泉悠氏の論文を引用する形でこう述べている。

「ロシアは、世界最大の国土面積を有する巨大国家である。万一誰かに攻め込まれた場合には、戦略縦深の後退によっていくらでも時間を稼ぐことができる。その上で正規軍とパルチザンによる反撃が可能である。(中略)つまり守りに対しては絶対的に強いのだ。ロシアは海外から攻め込まれたときの勝率は100%」
「ただし自分たちが他国に攻め込んだときはその限りにあらず。露土戦争(1877年~1878年)は負けているし、日露戦争(1904年~1905年)もしかり。今回の対ウクライナ戦争も、多分にその公算が大である。守りの絶対王者は、攻めに回ると意外と心許ない。それでも、他国に攻め込まれて白旗を掲げる、ということだけは考えにくい。(中略)最後は必ず、プーチンを相手に『交渉』という形で終わらせることになるのであろう」
ウクライナの首都キーウの街並み
ウクライナの首都キーウの街並み

   戦後のロシアはどうなるのだろうか。吉崎氏はこう分析する。

「『この戦争によってロシアが新たに得るもの』も検討しなければならない。それはおそらく『中国との腐れ縁』ということになるのではないか」

   そして、米エール大学経営大学院が毎日更新しているロシアで活動を続けている企業リストを紹介した。欧米を中心に1000社近くが撤退しているなか、中国企業の「残留」が目立つ。

「西側のグローバル企業がどんどん撤退する中で、ロシア・ビジネスは彼らには『おいし過ぎて止められない』のではないだろうか。(中略)対ロシア経済制裁が長期化し、西側企業の撤退が続くにつれて、その穴を埋めるのは中国企業ということになるのであろう」
「ロシア産の資源をアジア勢がディスカウント価格で買っているお陰で、国際商品価格の上昇に歯止めがかかっているという現実もある。いずれにせよ、こういう状況が続くにつれて、ロシアは中国のジュニア(立場の低い)・パートナーとなることが避けられないのではないか」

   ちなみに、野村総合研究所の木内登英氏も、リポート「国際経済フォーラムで強気姿勢を崩さなかったプーチン大統領」(6月20日付)の最後にこう記している。

「(サンクトペテルブルクで開かれた17日の国際経済フォーラムで)プーチン大統領は、軍事同盟ではない欧州連合(EU)へのウクライナ加盟を容認する姿勢を見せる一方で、それはウクライナの『半植民地化』を意味するとした。プーチン大統領は強気姿勢を維持するが、海外からの資金調達、支援が得られない中で戦争を続ければ、ロシア経済は一段と悪化していくことになる。
海外企業のロシア国内での事業停止・撤退の痛手も今後本格的に出てくる。そうしたなか、ロシアは中国に一段と接近し、経済面では中国の『半植民地化』することを受け入れないと、この先、経済の発展は望めなくなるのではないか」

(福田和郎)

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