きょうは50代のRさんがいらっしゃっています。
「毎日暗いニュースばかりで不安が募ります。電気料金や食品の高騰などなど、これからも値上がりすることは増えそうですね。円安も進み......日本の貧しさや初任給の低さなどが話題になっているので、『日本ってこんなに弱い国だったのか』とさらに気が滅入りそうです」
世界一勤勉な国であるはずなのに、大人が学ばない国・日本
昔から日本は世界一勤勉な国と言われている一方で、「アジアでは最も大人が学ばない国」で日本が1位という結果になっています。アジア太平洋地域(APAC)14の国・地域の主要都市の人々の中で、社外学習・自己啓発活動を行なっていない日本人の割合は46.4%という驚きの数値が出ているのです(「パーソル総合研究所のAPAC就業実態・成長意識調査(2019年)」より)。
日本人は勤勉なため働き過ぎで、学ぶ暇がないのではという答えかと思いきや、実際は異なるようです。グローバルノートがまとめた世界129か国の労働時間の中で、日本は87位(38.1時間/週)と、決して働く時間が多くはありません。中国(46.1時間)、マレーシア(45.0時間)、韓国(43.9時間)のように、アジア諸国と比べても低い数字となっているのが現状です(グローバルノート「2019年、世界の労働時間 国別ランキング・推移(ILO)」より)。
電車などの公共交通機関の時間も正確で真面目な日本人、一方で時間はあるのに、勉強しない日本人。この数字だけでは「日本人大丈夫なのかな」と思ってしまいますよね。
なぜ日本と世界で学びの差があるのか?
日本と世界の学びの差は、日本独特の雇用システムである、新卒採用・年功序列・終身雇用制度にもあると言われています。少しずつ変化もしていますが、まだ採用している企業が多いのが現状です。
日本の雇用は採用してから職場で育てていく「メンバーシップ型」、一方、世界では職務に対して適切な人を配置する「ジョブ型」が一般的です。日本では、未経験から職場でスキルを身につけていくOJTの学びが中心です。日本では「会社に入れば安泰」のような考えもまだ残っており、積極的に自分のための学びにつながらない人も多いのかもしれません。年代によって考え方の差が大きい部分だと思います。
このような雇用の差によって、日本人は職場で使う学びに、世界では自分のキャリアを高めるための学びへと、それぞれ「学びの方向性」も異なっているとも言えます。しかし、ここで「日本人が勉強しないのは、日本の雇用制度のせいだから仕方がない」で終わらせてしまったら、何も進みませんよね。
人生100年時代の人生の目標を立ててみる
40代、50代になると自分の役職や立場から「自分の社内でも限界ってこのへんなんだろうな」と感じることもあるかもしれません。「ここまでだ」と思った時点で、新しいことを学びたい気持ちにはならないと思います。しかし何もしないと、それまでです。
この先も働き続ける人生の中、社内だけで考えるのではなく、「社会における目標」を立てることで、出世以外の働く意義を見つけられるのではないでしょうか。目標ができると、挑戦意欲が湧いてきて、学びが必要となります。目標と学びが合わさることで、新しいステップに挑戦できるのでは!!
暗いニュースばかりですが、「日本まずいな」と思っているだけではRさんの状況も変わりません。「自分にできることは何か?」を考えてみてはいかがでしょうか。「まだまだ日本は捨てたもんじゃない」と気づくきっかけにもなると思います。ぜひ、そんな未来に期待したいものです。
(ひろ子ママ)