毅然とした態度で指示を出し、部下としての責任を全うしてもらう?
かつてお世話になった先輩で年上とはいえ、部下は部下。あなたとしては、次のような対応を考えるかもしれません。
自分は上司である以上、毅然とした態度で臨み、「任せている仕事とはいえ、上司である私の指示はきちんと聞いてもらわねば困ります。打ち合わせを優先して、できるだけ速やかに時間をとってください」と諭す。
真面目で職務熱心な上司ほど、このように考えるところでしょう。年下であっても、自分は上司なわけですから、相手に対してきちんと両者の立場を明示しておくことが、お互いのためにもチームにとっても大切だとの考え方で、もっともな面があります。
しかし、人間は感情の生き物ですから、そう単純にはいきません。年上部下には、かつての先輩としてのプライドが残っていることもあるでしょう。また、役職定年や給与減となった悲哀を強く感じていたり、今後の自分の仕事や役割に不安を持つなど、複雑な思いを抱えている場合が多いものです。
私も、管理職に登用されて間もない頃、年上の先輩たちが部下になり苦慮した経験があります。経験豊富な人たちを相手にどう対応してよいかわからず、関係がギスギスしてしまい悩んだものです。「自分は上司だからマネジメントしなければ」と気負ってしまうと、先輩部下は反発するものです。
いまやほろ苦い思い出となっていますが、私が社命を受けて組織運営の方針を大転換しようとして、彼らから大反発を受けたこともあります。それまで積み重ねてきたやり方を変えることに「絶対に納得できない」と言うのです。私が彼らを集めてひざ詰めでミーティングを行ったものの、どうにも打開できず、途方に暮れた覚えがあります。