参議院選、各党「場当たり的」物価対策にエコノミストが逆提案! 「円安メリット活用」「従業員持ち株で賃金アップ」を

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日銀が利上げに踏み切っても、プラス面大きい?

国会議事堂
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   熊野氏と同様、「場当たり的な物価対策ではなく、選挙では成長戦略を論じてほしい」と主張するのは、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。

   木内氏のリポート「参院選公示:場当たり的な物価高対策よりも賃上げ環境を整える成長戦略強化と金融政策の正常化を」(6月22日)では、与党の給付金支給策も野党の消費減税も一刀両断だった。

「物価高対策では、各党ともに財源確保を伴わない『バラマキ的』な色彩が強い政策を打ち出した。自民党は(中略)ガソリン補助金、生活困窮者向け給付金、食料価格安定策などを打ち出している。(中略)他方、野党からは消費支援策として消費税率の時限的引き下げや廃止の提案が相次いだ。一時的な性格が強い物価高に対して、税収基盤を中長期的に大きく損ねてしまう消費税減税や廃止で対応するのは適切ではない。それは、将来の国民負担への配慮を欠く無責任な姿勢と言える」

   そして、木内氏は日本銀行が政策を修正して物価安定へのコミットメントを示すべきだとした。

「仮に、日本銀行が政策を修正して短期、長期金利を引き上げるとしても、景気、物価に与える直接的な悪影響は限られるはずだ。短期金利を引き上げるとしても、米国のような急速な引き上げは考えられず、現状のマイナス0.1%と0%、あるいはプラス0.1%などに引き上げるにとどまるだろう。正常化策が急速な円高につながる場合には、株価下落も伴い短期的には景気に逆風になり得るが、そうしたマイナス面よりも、為替の安定、中長期のインフレ期待の安定を通じた経済へのプラス効果が勝るだろう」

というわけだ。

   さらに強調したのは、「人への投資」と将来世代に「成長戦略」を示し、経済に活力をよみがえらせることだった。

「政府には、成長戦略を一段と推進することで、経済の潜在力を高め、賃金が上昇する環境を整える政策に注力して欲しい。骨太の方針で示された『人への投資』など4つの重点投資にさらに肉付けをすることが喫緊の課題だ。また、出生率の上昇、外国人労働力の活用拡大、インバウンド戦略の再構築など『人』に関わる成長戦略を強化して、デジタル田園都市国家構想、東京一極集中是正、地域経済活性化などの政策と組み合わせることで、日本経済の潜在力向上を図ってほしい」

と、熱く訴えたのだった。

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