投資家が不安になる「恐怖指数」を見ると...
投資家が弱気になっているといえば、将来の相場に対する投資家心理を反映する指標としてVIX指数(Volatility Index、別名恐怖指数)がある。この数値が高いほど、株価下落の可能性が高くなる。10~20が標準で、30以上になると危険水域、40以上ではパニック状態といわれる。
現在、VIX指数が30を超えて上昇しており、「その恐怖指数を活用しよう」と呼びかけるのが野村アセットマネジメントのシニア・ストラテジスト石黒英之氏だ。
石黒氏のリポート「米VIX指数を活用した中長期投資法」(6月22日付)では、VIX指数の急上昇のグラフ(図表3参照)を示しながらこう指摘する。
「不安定な相場局面への対処法としては、米VIX指数の水準で判断することが中長期投資を行なううえで、役立つ手法と考えられます。米VIX指数の水準別の1年後株価上昇確率をみると、25以上で投資した場合、1年後の株価上昇確率は2009年以降で100%となっています(図表4参照)。インフレ鎮静化に向けたFRBの金融引き締め加速に対する市場の警戒度は高く、米VIX指数は今後も高水準で推移する可能性があります」
ただし、荒れた相場になると、考えることはみな同じ。そこで、こうアドバイスするのだった。
「市場が不安定な局面は得てしてエントリーポイントとなってきたことを考えると、米VIX指数が30を超えている現状では、複数回に分けて買いを入れることが、長期投資においてリターンを高めることにつながると考えられます。
ここにきて米バイデン政権が、ガソリン税の一時免除やトランプ前政権が課した中国製品への制裁関税の一部引き下げ案を検討するなど、明るい材料も出始めてきました。相場環境の好転に備え、投資家心理が不安定な時にこそ、中長期目線で投資を継続することが重要と考えられます」
(福田和郎)