ウォール街戦々恐々! 「リーマンショックよりひどい」とエコノミスト指摘、FRBも見放す米国経済どこへ行く?

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米国株、最高値に比べ3割もの大幅下落?

   さて、米国株はどこまで下落するのだろうか。「1割近く下落する可能性がある」と指摘するのは、みずほリサーチ&テクノロジーズの主席エコノミスト川本隆雄氏だ。

   川本氏のリポート「米国株式の下値目途を考える─米長期金利4%到達で1割程度下落の可能性─」(6月20日)では、半年後に予想されるPER(株価収益率)とEPS(1株当たり利益)のマトリクス(行と列で表現された表)を使って分析している=図表2参照

(図表2)PER‐EPSマトリクス(みずほリサーチ&テクノロジーズの作成)
(図表2)PER‐EPSマトリクス(みずほリサーチ&テクノロジーズの作成)

   一般に、株価は、株価収益率(PER)×1株当たり利益(EPS)と表せる。また、PERは長期金利との関係が深く、米国10年国債利回りとS&P500株価指数のPERとの間に相関関係が見られる。さらに長期金利が上昇すると、景気減速を通じて企業収益、ひいてはEPSにも影響を与えることになる。

   詳しい説明はリポートにゆずるが、マトリクス表のPER(倍数)とEPS成長率が交わる箇所を見ると、今後のS&P 500株価指数が予測できるという。

   これによると、半年後に米国長期金利が4%となり、PER がエコノミストの大方の予想どおりに14倍まで低下、1年後のEPS成長率予想が5%まで減速した場合、S&P 500株価指数は3322ポイントとなる。

   これは、今年6月17日時点の株価と比較すれば、1割程度下落する計算だ(図表2の中の(2)参照)。今年1月につけた最高値に比べれば、3割もの大幅下落となる。

   ただし、PERが12.5倍にまで低下すれば、S&P 500株価指数は2960ポイントとなり、もっと下落することになる(図表2の中の(3)参照)。

どうなる世界経済?(写真はイメージ)
どうなる世界経済?(写真はイメージ)

   いずれにしろ、かなり大幅な株価下落が待っている計算だ。明るい材料はないのか――。「毎月の景気指標を丁寧に定点観測するしかない」とアドバイスするのは、J.P.モルガン・アセット・マネジメントのグローバル・マーケット・ストラテジスト前川将吾氏だ。

   前川氏のリポート「米国の景気後退入りは市場のメインシナリオか?」(6月20日付)では、こう指摘する。

「直近の米個人投資家協会(AAII)の調査などのセンチメント指標を見る限り、投資家はかなり弱気に傾いており、(中略)ここまでの株安はやや行き過ぎで、今後の景気『減速』は十分織り込まれていると考えています」

   しかし、甘い期待は禁物。「FRBの利上げ見通し」と「失業率の推移」に特に気をつけようと呼びかける。

「上記2点を踏まえれば、金融市場では『急激な金融引き締め⇒景気後退入り』が恐れられてはいるものの、少なくとも現時点では、このような見方が『メインシナリオ』にはなっていないといえるかもしれません。ただし、(中略)利上げ見通しは物価指標次第で大幅に修正されるほか、現時点で強さを保つ労働市場が今後の大幅利上げに本当に耐えられるかどうかは毎月の景気指標で確認するしかありません」

   結果はデータ次第、地道に定点観測を続けよう、というわけだ。

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