「今年末のボーナスは『糠喜び』に終わるかも」の声
ただ、経済を回すためにも、大企業の給与水準が上がることに反対するような意見は少なかった。
「日本経済全体のことを考慮すれば、『出せる所から出す』ことは必要で、当然なことでしょう。もらった人たちが、消費を活発化してくれることを期待します。ただボーナスが出ること自体が珍しい職場環境の身からしたら、単純に『羨ましい』ですねえ」
これに対して、中小企業にエールを贈る意見も見られた。
「中小企業も社内全体が活気にあふれて難しい仕事も嬉々として取り組んでくれるようなとことは、(大企業が)値段だけでない仕事を安心してまわせるので収益も悪くないと思う。反対に、会社全体がぬるま湯体質で新しい事は出来ない、難しいことも失敗が多いようなところでは、価格しか競争どころのない数だけ仕事しか回せない。中小企業とひと括りにするのではなく、大きくは二極に分かれているよ」
ほかに、早くも冬のボーナスを予想する声もあがっている。
「上場会社数十社の配当金額を前年同期と比べると、概ね1割から2割増えていますから、大手企業の夏のボーナスが去年より13.8%増えたというのは、十分納得できる数値です。しかし、これは半面『月例給与』がさして増えていないことの裏返しですから、手放しで喜べる現象ではありません。日本の大手企業は『ベースアップ』に対しては極めて慎重ですから、冬のボーナスを含めた通年で見ると、今年の大手企業の給与総額の増加率は10%を下回る可能性があります」
「企業物価指数の上昇率を考えると、今後これが徐々に『前方転嫁』され、(中略)今年の夏のボーナスを手にした大手企業の従業員たちの喜びも、今年末には『糠喜び』に終わるかも知れません」
「大企業は、海外での稼ぎで円安差益なのでしょう。一過性の可能性も高く、中長期的な企業の競争力向上には確信を持てないから、利益分を賞与で還元しているのかな。ただ、企業物価だけでなく、最終製品にも価格転嫁が進みつつあるから、国内中心の企業や中小も冬は少し上がってくるか。日銀総裁の(家計は値上げを受け入れているという)発言が批判されているが、企業人は情勢として価格転嫁の動きが進みつつある、と翻訳して理解したではなかろうか。とにかく、お金が天下の回りもの、になって景気が良くなることを期待する」
(福田和郎)