外資系ファンドが日本の不動産に熱い視線
「週刊東洋経済」(2022年6月25日号)の特集は、「不動産争奪戦」。新たな金脈をつかもうと、外資系ファンドが日本の不動産に熱い視線を注いでいるという。
不動産業界では曰く付きの物件として知られる東京都目黒区の複合施設「目黒雅叙園」が、4度目の売却を迎えようとしているという。
これまで3度転売されてきた。2002年、破綻した運営会社に代わり、米投資ファンド・ローンスターが買い取り、14年に森トラストに約1300億円で売却。その5か月後、森トラストは中国の政府系ファンド・CICに約1430億円で転売し、現在に至っている。
CICから雅叙園の運用を受託していたラサール・インベストメント・マネージメントは、売却を模索し始め、今年5月にアドバイザリー業者の選定活動に着手。2000億円以上で売ります、というプレゼンをした業者もいたそうだ。
売却が実現すれば、前回の取得価格から600億円も跳ね上がることになる。こうしたこともあり、海外から日本の不動産に資金が流れ込んでいる。
不動産ファンドには、4種類の投資スタイルがあることを紹介している。
長期保有の「コア型」、長期保有だが売却益も狙いたい「コアプラス型」、賃料や稼働率を上げて売却する「バリューアッド型」、リスクを取って転売する「オポチュニスティック型」の4つだ。
ハイリスク&ハイリターンの「オポチュニスティック型」の典型例として、カナダの不動産ファンド、ベントール・グリーンオークが約720億円で買い取った、東京都港区のエンタメ大手エイベックスの「元」本社ビル(18階建て)を挙げている。
後継テナントはまったく白紙で、築3年にもかかわらず建て替え計画もあったが、1棟借りするテナントを探し、パソナを引き当てた。今夏、パソナが東京・大手町から移転すれば、フル稼働の収益物件として別の投資家に転売するもようだという。
◆外資系ファンドによる国内不動産投資額ランキング
外資系ファンドによる国内不動産投資額ランキングをまとめている(2020年10月~22年3月に決済された国内の不動産取引)。1位はガウ・キャピタル・パートナーズ(香港)の2820億円(24物件)、2位はテキサス州教職員退職年金(米国)の2690億円(22物件)、3位はブラックストーン・グループ(米国)の2210億円(58物件)、4位はアクサグループ(フランス)の2070億円(12物件)となっている。
「日本の不動産は米国に次いで有望だ」という米投資ファンドKKRの不動産部門幹部の声を紹介している。マーケットの規模が大きく、取引も活発で、なおかつ不動産業が1つの業界として確立し、豊富な人材がいることが魅力だという。
世界的な金融緩和で、世界から資金が集まる。さらに、日本だけが超低金利政策を続けているため、リターンも大きい。
国内デベロッパーの存在感は薄いが、再開発など「つくる」ことが柱のデベロッパー。渋谷と八重洲でデベロッパーによる土地の争奪戦が繰り広げられている模様を詳しく伝えてている。