「マーケティングが日本を救う」
本書はマーケティングの教科書として役立つほか、森岡さんが体得してきたキャリア・アップの秘訣を明かしたところにも読みごたえがある。神戸大学経営学部を卒業し、大手商社や大手銀行からも内定をもらったが、P&Gに入社した。P&Gは職能別部門採用だったのが決め手だった。
P&Gは厳しい会社だったが、幅広い実戦経験で鍛えられた。結果を出し、入社5年目にブランドマネージャーに昇格。その後、2004年にP&G世界本社(米国シンシナティー)に赴任した。最重要ブランドの1つである北米パンテーンのブランドマネージャーとして、壮絶なプレッシャーと格闘したという。
日本に戻り、2009年にはP&Gが買収したウエラジャパンの副代表になった。そして「もっと成長するための新天地が欲しい」とUSJに移った。
森岡さんは「マーケティングが日本を救う」と考えている。マーケティングは日本であまり普及しなかったが、日本人に最も馴染みやすい「合理主義」だというのだ。多くの人々を幸せにするために必死に頭を使うマーケティングは、日本人の感性に馴染んでいるとも。
本書は2016年に初版発行。「読者が選ぶビジネス書グランプリ2017 マネジメント部門で1位になるなど多くの支持を集め、2022年4月で33版と売れ続けている。
(渡辺淳悦)
「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方」
森岡毅著
KADOKAWA
1540円(税込)