岸田首相の「新しい資本主義」実行計画、「アベノミクス回帰」の評価もっぱら 格差是正、「分配」重視はどこへ?

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   岸田文雄首相の看板政策「新しい資本主義」の実行計画が決まった。人への投資、資産所得倍増などを打ち出し、経済成長に重点を置く内容で、政権発足当時に強調した「分配」重視の姿勢が後退し、「アベノミクスへの回帰」との評価がもっぱらだ。

  • 「新しい資本主義」の行方は?(写真はイメージ)
    「新しい資本主義」の行方は?(写真はイメージ)
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人、技術、新興企業、脱炭素・デジタル化...4本柱への重点的な投資

   2022年6月7日、「経済財政運営の基本方針(骨太の方針)」とともに閣議決定された新しい資本主義の中身を確認しておこう。

   格差拡大や気候変動などの社会問題について、「新たな官民連携」で解決を目指しながら経済成長にもつなげるとの目標を掲げた。そのために、(1)人、(2)科学技術・技術革新、(3)スタートアップ(新興企業)、(4)脱炭素・デジタル化――の4分野に重点的に投資する方針を明記した。

   人への投資では、企業に賃上げを促すのに加え、貯蓄に偏る個人金融資産を投資に振り向け、「企業価値の向上の恩恵が家計に及ぶ好循環を作る」と強調。「資産所得倍増プラン」を年末に策定するとして、少額投資非課税制度(NISA)の抜本的改革や、個人型確定拠出年金(iDeCo)制度の加入上限の65歳以上への引き上げなどの検討を盛り込んだ。

   さらに、成長分野に人材が集まりやすくするため、転職やキャリアアップを後押しする体制整備も重視し、3年間で計4000億円規模の施策パッケージをまとめ、非正規雇用ら100万人を対象に学び直しや再就職支援を実施するとした。

   スタートアップ支援では、5か年計画を22年末に策定。また、脱炭素は、新たな国債「GX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債」(仮称)を創設。政府が調達した資金で再生可能エネルギーなどの分野の民間投資を支援し、10年間で官民合わせて150兆円の投資を目指すことも盛り込んだ。

   分配については、すでに取り組む賃上げ税制の拡充に触れたが、富裕層を想定した金融所得課税の強化などには触れなかった。

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