バイデン大統領のサウジ訪問で、さらなる増産を引き出せるか?
ただ、原油価格への影響は現状ではほとんど見られないのが実態だ。
代表的な指標である米ニューヨーク市場のWTI原油先物の相場をみると、21年初めの1バレル50ドル台から、景気回復に伴い秋以降は80ドル前後になっていた。
それが、22年2月下旬のウクライナ侵攻を受け、一気に100ドルの水準を大きく突破し、一時は120ドル台をつけた。6月2日のOPECプラスの合意でも流れは変わらないどころか、直前の100~110ドル台から、足元で再び120ドル台に跳ね上がっている。
今後、相場はどう動くか。
IEAによると、増産余力はOPECだけで日量540万バレルあり、半分以上をサウジとアラブ首長国連邦(UAE)の2国で占める。他方、ロシア以外にも、ナイジェリアなど投資不足や政情不安などで、生産目標を達成できていない国も少なからずある。
米調査会社によると、8月に実際に増産できるのは35万5000バレルと、今回の合意の64万8000バレルの55%程度にとどまる見込みという。なお、余力があるサウジやUAEが他国を差し置いて、計画以上に増産するのは難しいと見る向きが多い。
バイデン大統領は、7月のサウジ訪問で、さらなる増産などの協力を引き出せるか。当面は、それが原油をめぐる注目点だ。(ジャーナリスト 白井俊郎)