SBI・HD決算、一番の稼ぎ頭は未上場株への投資 地域銀行との提携の成果はいかに?【馬医金満のマネー通信】

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   みなさん、こんにちは。馬医金満です。

   SBIホールディングス(HD)が5月27日に発表した2022年3月期の連結決算は、純利益が前期比4.5倍の3668億円で、2期連続で過去最高益を更新しました。9期連続の増収です。

   ただ、ここで一点、注意が必要なのは、新生銀行の子会社化に伴う「負ののれん発生益」が利益増加の原因となっていることです。「負ののれん」とは、一般に買収相手を純資産より高い金額で買収した場合に発生するのが「のれん」。半面、純資産より低い金額で買収するケースに発生するのが「負ののれん」です。

   SBIHDの2022年3月期決算と今後の戦略を、考えてみました。

  • SBIホールディングスは地域銀行をどうしたいのか!?
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2023年3月期の業績は見通せず......

   SBIHDの決算をみると、こうした負ののれん発生益や新生銀行の連結効果を除いたベースの純利益でも、1301億円と過去最高の決算となっていました。それは一番の稼ぎ頭がセグメントでの業績でみた場合、未上場企業などに投資するアセットマネジメント事業で、税引き前利益が1659億円と前期比の約2倍になったことが背景にあります。

   同じように投資事業に注力しているソフトバンク(ソフトバンクのアセットマネジメント事業は前年比10兆円以上も損失を出し、4兆8000億円の赤字となっています)と比べると、投資成績に差が大きく出ているのがおもしろい点であると思っています。

   また、海外事業では韓国のSBI貯蓄銀行の業績拡大も拡大していますが、一方で主要子会社のSBI証券の連結純利益は13%減の400億円となっています。基本的に、無料のサービスをどのようにマネタイズしていくかが問われていくと考えています。

   なお、SBIHDは、2023年3月期の業績見通しを開示していません。同時に、従来未定としていた前期の期末配当を120円(年間配当は150円)実施する考えを明らかにしています。今期の年間配当は未定です。

地場企業との関係をどう生かす?

   好調にみえるSBIHDの決算ですが、今後の戦略を考えると、やはり地方銀行や第二地銀との関係強化は、より注目されるでしょう。SBIHDは地銀・第二地銀9行と資本提携の関係にあり、業務提携まで含めればもっと多くの地域銀行との提携を進めています。かつて、日本長期信用銀行が発行した金融債で培った地域銀行との関係を受け継ぐ新生銀行を買収したこともあるでしょう。

   しかし、その新生銀行も多くの地域銀行の膨大なデータと関係性を抱えていながら、これまでは上手に活用できていないのが現状とされます。

   SBIHDの北尾吉孝社長は、「互いの顧客基盤を結びつけることができず、需要を見逃している。人の勘に頼るのではなく、ビッグデータできちんとフォローすれば、科学的に分析できる」とコメントしています。つまり、SBIHDと新生銀行、さらには地域銀行同士の連携による相乗効果は「これから」というわけです。

   そういった面で、今後は提携先の地銀・第二地銀と、SBIHDが有する地場の未上場企業への投資ノウハウを、いかに繋げていけるかに注目する必要がありそうです。

   では、また!

(馬医金満)

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