日銀、市場の期待に「塩対応!」 エコノミストはどう見た?「投機筋に負けたと言われたくない」「逃げ切れるだろう」の思惑か

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投機筋と悪い円安批判から「逃げ切れる」と期待した?

金融緩和をいつまで続けるのか(写真はイメージ)
金融緩和をいつまで続けるのか(写真はイメージ)

   一方、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏は、日本銀行が政策を変えなかった背景には「逃げ切れる」という期待があったのではないかと指摘する。

   木内氏のリポート「決定会合は現状維持も日銀のYCC柔軟化はいずれ避けられないか」(6月17日付)のなかで、日本銀行は現在、連日「指し値オペ」などを駆使して10年国債利回りの変動レンジの上限を死守することに追われているが、日本銀行が「逃げ切れる」と考える理由をこう指摘する。

(1)米国では住宅、自動車などの金利敏感セクター、消費者心理の弱さを示す指標が出て、米国株式市場は不安定性を増している。米連邦準備制度理事会(FRB)が予想以上に利上げ加速するフェーズは終盤に入った可能性がある。
(2)利上げ自体は今後も続けられるとしても、利上げ見通しの上方修正が起こらなくなれば、米国の長期金利の上昇は一巡し、その影響から対ドルでの円安進行も一巡する可能性が出てくる。
(3)そうなれば、日本銀行は日本国債売りの攻撃と、悪い円安を巡る国内での批判の双方をかわすことができる。いわば「逃げ切る」ことができる。

   しかし、木内氏は「日本銀行が期待する姿が実現する保証はない」として、こう結んでいる。

「今となってみれば、日本銀行が毎営業日指値オペを導入したことが、政策を見直すことのハードルを上げてしまった。自ら退路を断ってしまった感が強い。(中略)0.25%という(投機筋の)ターゲットを事実上外していく一方、利回りの急激な上昇を抑える姿勢は維持する。ただし、ターゲットさえ外せば、市場の投機的な動きは収まる方向となるのではないか」

(福田和郎)

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