「投機筋に負ける日銀」というレッテルを貼られたくない
こうした日本銀行のあまりの「塩対応」は、投機筋に対する日本銀行の「強い意地」の表れだと見るのは、第一生命経済研究所の主任エコノミスト藤代宏一氏だ。
藤代氏はリポート「マイナス金利?楽部に留まる意向は変わらず 円安対策は『塩対応』」のなかで、金融政策会合の結果発表時間が午前11時43分という早さに注目、「『政策修正の議論すらなかった』とのメッセージに思えてならない」と述べ、こう指摘する。
「一部の海外投資家(ヘッジファンド)は、国債先物を売り込んでおり、マスコミ報道では日銀VSヘッジファンドという対立構造で攻防戦が語られていた。もっとも、ヘッジファンドは日銀を屈服させる目的で国債を売っていたのではなく、純粋に政策修正を見込み収益機会を探していたに過ぎず、そうした対立構造の説明には違和感を禁じ得ない」
「それでも一部投資家の売りを日銀がオペの多様化によって吸収していたのは事実であるから、今回、もし日銀がYCC(イールドカーブコントロール、長短金利操作)誘導目標レンジの上限拡大などの政策修正に踏み切っていたならば、『ヘッジファンドに負ける日銀』というレッテルを貼られ、それこそ信任を失ってしまう可能性があった。日銀の立場になって考えてみれば、ヘッジファンドが売りを仕掛けている時こそ政策を維持したい、だろう」