世界金融不安が高まる中、「日銀だけが異次元緩和の歯止め役」
つまり、従来の姿勢を改めて強調したのだ。こうした日本銀行の欧米の中央銀行とは真逆の政策をエコノミストたちはどう見ているのか。
日本経済新聞(6月17日付)「日銀、大規模緩和を維持 為替の物価への影響注視」という記事につくThink欄「ひとこと解説」コーナーでは、日本経済新聞特任編集委員の滝田洋一記者は、完全なゼロ回答にならないよう声明文に「金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要がある」などの文言を入れたことに注目した。
「国債の指し値オペについて文言を変えると、長短金利操作打ち止めの思惑を招くので、ここはあえて前回と同じ文言に」「今回は『金融・為替市場の動向』に『十分注視』と為替に言及しましたが、金融緩和を変えないままとあって、再び円安の展開です」「賃金上昇率などの高まりを指摘したことは、異次元緩和をやめるのは日銀の『敗北』ではなく、『目標達成』だという『再定義』につながります」
と、日本銀行の狙いを説明した。
同欄では、みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏が「日銀の意地」を指摘した。
「(債券市場では)許容変動幅上限はやはり0.25%で据え置かれた。日銀が海外勢による思惑的な売買に屈服してしまうと、その信認は失墜しかねない。スイスが利上げを前倒しで実施し、グローバルな金融市場で不安感が高まる中、日銀が異次元緩和を堅持して歯止め役になったとも言える」「『金融・為替市場』の動向やその日本経済・物価への影響を十分注視するという文章が入った。為替をしっかりウォッチしていると明記することで、円安をけん制した面もあろう」