最新データで見る「労働力人口」「就業者数」「雇用者数」...とりわけ男性の雇用状況「悪化」鮮明(鷲尾香一)

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雇用形態別では、正規雇用7年連続増加、非正規雇用2年連続減少

   就業者のうち雇用者数は2021年平均で5973万人と前年比横ばいだった。雇用者数は2020年に前年比31万人減少したが、2021年の雇用者数が横ばいだったことで、雇用者数の回復は見られていないということになる。

   ただ、雇用者を男女別にみると男性は3256万人と同14万人減少し、2年連続の減少となった。2019年は3264万人だったことから、2年間で合計28万人減少した。

   一方、女性は2717万人と同14万人の増加となった。2020年には前年比で17万人減少していたが、その大半を回復したことになる=表2

   雇用者数でも、労働力人口、就業者数と同様に男性の回復が遅れており、雇用悪化は男性に重くのしかかっている。

   さて、雇用形態別では、正規雇用者数は2021年平均で3565万人と前年比26万人増加し、7年連続の増加となった。一方で、非正規雇用者数は2064万人と同26万人減少し、2年連続の減少となり、非正規雇用者の厳しい状況が続いている。

   正規雇用者の男女別では、男性は2343万人と前年比2万人の減少、女性は1222万人と 同28万人の増加となり、女性の回復が鮮明となっている。

   一方、非正規雇用者の男女別では、男性は652万人と同13万人の減少、女性は1413万人と同12万人の減少となった。労働力人口、就業者数、雇用者数、正規雇用者数と女性の雇用回復が鮮明となっていたが、非正規雇用者については、女性も厳しい雇用状況が続いている=表3

   こうした雇用状況の結果、完全失業者数は2021年平均で193万人と前年比2万人の増加し、2年連続の増加となった。また、完全失業率(労働力人口に占める完全失業者の割合)は2021年平均で2.8%と、前年と同率となった=表4

   男女別では、男性は116万人と前年比1万人の増加、女性は77万人と同1万人の増加となった。

   完全失業率の男女別では、男性は3.1%と同0.1ポイントの上昇、女性は2.5%と前年と同率となった=表5

   完全失業者数、完全失業率とも、男女ともに高止まりしており、雇用改善の遅れが目立つが、完全失業率では女性は前年比横ばいだったのに対して、男性は上昇するなど、やはり男性の雇用状況の悪化が鮮明になっている。

   原油や資源価格の上昇、円高の影響などにより、物価の上昇が一段と続き、国民生活に大きな負担となっている。雇用の回復、賃金の上昇は喫緊の課題だ。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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