無気力だった息子を変えた「結婚による心の充実」
女性の意識を変えないと若い男性が委縮するという指摘もあった。
「地方で20代なら月収20万円くらいの人が大勢いるのに、『女性が結婚相手に求めるのは年収500万以上と言う人が大半』とか頻繁に出るニュース記事を見れば、自信をなくす」
「分かる気がするな。バブル末期に大学生だったが、貧乏な下宿生だったから主に経済的な面から好きな女性がいても、幸せにできる自信なんて微塵もなかった。サークルにいた女子も卒業旅行とかみんなでヨーロッパに行ったりしていて、全く生活レベルが違うことを改めて感じたな。(中略)初デートは今のかみさんでしたね。少し歯車が狂えば、今でも独身だった可能性は十分あったと思う」
一方、20代で結婚している男性からはこんなボヤキの声が――。
「20代で子持ちだけど、今の20代はフルタイム共働きが当たり前。(中略)昔は結婚して女性を養うだけで税金的にも老後の年金も得だった。子どもがいればなおさら。(中略)現在はそれがなくなり、児童手当も今じゃ月1万円ですよ。子どもたちは頻繁に熱を出すから夫婦で休みを調整して、予防接種とそれにPTAや地域の事まで。(中略)物価が上がり、毎年服も下着も靴も水着も買い換えなければいけない子育て世帯には大打撃ですよ」
だからというわけではないが、独身を貫く40代男性からはこんな声が寄せられていた。
「20代後半で一生独身と決めてから家を建て、40代前半でローンの支払いが終わった。ローンの支払い中は自由に使えるお金も少なかったので、女性との付き合いなんて当然できない。(中略)今は貯蓄もしている。まだまだ働けるから独身の老後に向けて準備している。今なら結婚して子供を作っても育て切れるだけの財産も貯金も環境も揃っている。(中略)でも、こんなおっさんと結婚したい女性なんて存在しないし、婚活自体楽しいものではない。正直、独身でも毎日楽しいし特に困ることもない、万が一結婚しても相手によっては今の楽しい生活が壊れるリスクもある。結局この歳だと自動的に生涯独身確定よ」
最後に、「親」の立場からの「結婚賛歌」も紹介したい。
「息子は金遣いが荒く、無気力で、面倒くさがりで、心配だらけでしたが、彼女ができて結婚し、赤ちゃんができたらまるで別人のように変わりました。仕事も真面目に働くようになり、少ない収入を必死にやりくりして、無気力だったのが嘘のように明るくなって幸せそうなんですよね。お金も時間も自由じゃなくなるし面倒くさいかもしれないけど、それ以上に心の充実が人には大事なことだと、教えてもらいました」
なお、白書は内閣府が昨年(2021年)12月~今年1月に調査を行い、20代~60代の2万人から回答を得た。
(福田和郎)