円安のゆくえを左右する日米の金融政策が開催される。2022年6月14~15日に開催される米FOMC(米連邦公開市場委員会)、16~17日の日本銀行の金融政策決定会合から目が離せない。
ただ、米国の利上げ継続姿勢が後退することはなく、日本でも現行の金融緩和策が変更される可能性はなく、日米の金利差は広がることはあっても縮まる可能性は小さい。どこまで円は下がるのだろう......。どうなる!? 今週の株式・為替マーケット!
東京株式市場 米国株のゆくえが下げ材料に!?
日経平均株価予想レンジ:2万7000円~2万8300円
2022年6月10日(金) 終値 2万7824円29銭
今週の東京株式市場の日経平均株価は、上値の重い展開か。
前週の東京株式市場の日経平均株価は、4週続伸となった。ただ、一時は2万8400円間近まで上昇したものの、週末に大幅反落。2万8000円台を維持することはできず、週ベースでは小幅続伸にとどまった。
今週の日経平均株価は、上値の重い展開となりそうだ。10日発表の5月の米CPI(消費者物価指数)が市場予想を上回ったことでから、一段の金融引き締めに対する警戒感が高まり、米国株が急落しており、週初の日経平均株価はこの影響を受けることになりそうだ。
国内投資家自らの判断力に乏しく、相場の方向感を米国株動向に頼るしかない東京株式市場では、インフレ、金融引き締めという米国株の材料から離れ、日本株の材料や投資判断で動くことはない。このため、14~15日に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果には注意が必要だ。
今後、米国の大幅利上げが継続するとの見方が強まれば、米国株の下落が続くと見られ、日経平均株価の下げ材料になるだろう。ただ、米国の利上げ警戒感による円安進行は、日経平均株価の買い材料となるはずだが、米国株の下落を切り離して、日本株が上昇することはない。円安進行は相場上昇の後付け材料として使われているだけで、国内投資家に「円安進行=買い材料」といった確固たる投資姿勢があるわけではない。
東京外国為替市場 日米の金利差、一段の拡大観測
ドル・円予想レンジ:1ドル=133円00銭~137円00銭
2022年6月10日(金)終値 134円42銭
今週の外国為替市場でドル円相場は、引き続き、ドル堅調か。
前週のドル円相場は、ドルが上昇した。10日発表の5月の米CPI(消費者物価指数)が市場予想を上回ったことなどで、米国のインフレ抑制で利上げ強化に対する警戒感が高まり、米長期金利が上昇。日米金利差の拡大観測を背景にドルは一時1ドル=134円半ばまで上昇した。
今週のドル円相場は、引き続き、ドルが堅調となりそうだ。基本的な日米金利差の拡大という構図に変化はなく、むしろ、一段の金利差の拡大観測が強まっており、ドル買い・円売り姿勢が継続するだろう。
14~15日に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)で米国の利上げ継続姿勢が後退することはなく、一方で16日の日本銀行の金融政策決定会合で、現行の金融緩和策が変更される可能性もない。となれば、ポジション調整以外のドル売り・円買いは考えづらく、ドルは堅調の動きを続けるとみられる。
経済指標は、国内では13日に4~6月期法人企業景気予測調査、15日に4月の機械受注、16日に日銀金融政策決定会合(17日まで)、5月の貿易収支、17日に日銀の黒田東彦総裁会見などの発表が予定されている。
海外では、14日にFOMC(米連邦公開市場委員会、15日まで)、米国の5月の卸売物価指数、15日に中国の5月の鉱工業生産と小売売上高、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長会見、米国の5月の小売売上高、16日に米国の5月の住宅着工件数、17日に米国の5月の鉱工業生産などの発表が予定されている。
(鷲尾香一)