自身で会社を興し、事業を作り上げたオーナー系創業社長によくある話
このカリスマ経営者の「短気」ともとれるやり方をどう見るかですが、規模の大小にかかわらず、ワンマン体制で事業を作り上げてきたオーナー系創業社長にはよくある話ではないかと、私は受け止めています。
いかに入念な申し送りの上で引き継いだ後継者といえども、そもそもが自分と同じやり方など後継者には望むべくもないということを理解ができないのが、ワンマン経営者のワンマンたる所以なのですから。ましてや交代後に業績が下がる、などという目に見えるマイナスがあれば、黙ってみていろというのは土台無理な話なのです。
中堅、中小企業では、同じようなケースを複数見てきました。
そのような場合、どのような決着をみるかといえば、後継者が創業者のご子息である場合には、あれこれ口うるさく口出しはしながらも、いきなり倒産の危機にでも瀕しない限り、最終的にはあきらめの境地で徐々にフェイドアウトしていく、というのが普通です。
しかし、後継者が他人の場合は、そうはいきません。永守氏と同様に、自身の発言権を再強化するような役員異動をしたり、さらに強硬な経営者の場合にはいきなり後継社長をおろしてクビにする、というケースもあります。
このあたり、血縁者であるなら我慢が効く、そうでないなら我慢がならんというのは、自身がつくり育てた会社は自己の子供同じなのだ、ということではないかと思うのです。
自分の子供と自分の子供のような存在である自社を天秤に乗せた時には、どちらの大切さも同じであり、どちら優先するかを選ぶのは難しく、とりあえず自分の子供の後ろ盾になりつつ、我慢を重ねるという選択が可能なのだと思うのです。
しかし、後継者が他人の場合、何か会社にマイナスが生じたなら他人の手で自分の子供を傷つけられたかの如くに感じ、即刻「我慢がならん」ということになってしまうのではないのでしょうか。