いま、コロナ禍の影響もあり、体の不調をうったえる人が増えています。頭痛、肩、腰など、場所は異なりますがすべては「姿勢の悪さ」からきているのです。本書では、1回3分、「おさんぽ」に取り入れるだけで、スッキリ軽やかになるメソッドが紹介されています。
「歩くだけで効く! おさんぽ整体 肩こり・腰痛・不調に効く最強テク!」(小林篤史著)三笠書房
簡単そうに見えて、けっこうできない?「1cmジャンプ」
本書が興味深いのは、「おさんぽ」に、整体、肩こり、腰痛に効くテクニックを盛り込んだ点です。そのため、朝の出勤時や、朝散歩の際に取り入れるだけで大丈夫。難しいテクニックではないので、やる気をそがれることもありません。
筆者である私も、腰痛持ちです。若いころと違い、深夜まで頑張った翌日には、腰の張りとともに痛みが強くなります。近所の整骨院でマッサージを受けてかなりラクになりますが、翌日には元通り。マッサージで一時的にラクになっても、また痛みがぶり返してしまうのです。お風呂に浸かって揉んでも、あまり効果がありません。どうにかならないものかと考えていました。
「歩行の際、足の指が開いた形で着地し指で地面をしっかりつかむ『1cmジャンプ』がおススメです。簡単そうに見えて、多くの人はこれができません。骨盤がまっすぐ立っていないことに加えて、1日のうちの長い時間、靴をはいている影響も大きいでしょう(女性の場合は、ヒール靴の影響大)」(小林さん)
「結果として靴の中で足の指同士がくっついた状態となり、足指が変形していきます(外反母趾や内反小趾、浮き指など)。ジャンプを繰り返すことで、足の指を開いて地面をつかむ感覚を取り戻しましょう。ジャンプ自体が足腰や運動機能の強化に役立ちます。着地の衝撃によって、背骨や脳にも刺激が与えられます」(同)
継続することで、足の指先まで血行がよくなり、全身の血液循環が改善していきます。血液循環の改善は、冷え性の予防・改善にもつながります。さらに、足腰がしっかりし、足指で地面をつかまえられるようになると体が安定し転びにくくなると、小林さんは言います。「1cmジャンプ」は通勤時間での実践に効果がありそうです。
間違った下着を選んでいませんか?
小林さんは、骨盤を正しい位置に置くことで、体の不調が軽減されるという理論をお持ちです。そのために開発された整体パンツ「ZERO」というものもあります。正しく着用することでゆがんだ骨盤は矯正されていきます。じつは、私も2年前から愛用しています。
「あなたは普段、どんな下着を履いていますか? ヒップアップ系、ワンサイズ小さめのもの、体に気を使って骨盤矯正系。さまざまな種類の下着があって、いまも増え続けています。しかし、間違った下着を選び、履いてしまうことは、体調不良を引き起こす可能性があります」(小林さん)
「多種多様な下着が世の中にあふれている状態では、間違った下着選びで体調不良を引き起こしている可能性が高いのです」(同)
座りっぱなしのデスクワークや長時間の同じ作業によって、体の不調をうったえる人が増えています。本書には、「おさんぽ」時間中に、手で触れて、骨盤や腹筋を意識するだけで整えていく方法が載っています。時間、体力に余裕がある人は、「おさんぽ」の距離を伸ばしていくといいでしょう。できる範囲で続けていくうちに習慣化されるはずです。
(尾藤克之)