先日行われた、エリザベス英女王の即位70周年を祝う「プラチナ・ジュビリー」の祭典。英王室の底力を見せつけるような豪華絢爛な催しと英国民の弾けるような笑顔が世界中に流れました。
御年96歳の女王は、バッキンガム宮殿のバルコニーに登場して大歓声を浴びただけでなく、PR動画で国民的アイドル「熊のパディントン」と共演するなど、ちゃめっ気たっぷりの演出で人々の心をわしづかみにしたと報じられています。
そんな人気絶頂の女王から「主役」の座を奪ったのは、なんと最年少メンバーのルイ王子。「主役」になりそこねた「あの人」のライバル心にも火をつけてしまったようです。
4歳のルイ王子、忖度ゼロのパフォーマンスで「人気をさらう」
1952年に父のジョージ6世の死去を受けて即位したエリザベス女王。2022年2月に70周年を迎え、英国史上で最も在位期間の長い君主となりました。
現王室メンバーの構成を考えると、当面は女王の在位70年の記録が破られることはなさそうです。4日間に渡って繰り広げられた式典は、パレードやコンサート、路上パーティーなど、コロナ禍を忘れたかのような晴れやかで優雅なお祭り続きで、女王人気を不動のものにしました。
ところが、そんなエリザベス女王のお株を奪うように、メディアの注目を集めたのが、ウイリアム王子とキャサリン妃の末っ子・ルイ王子です。先日、4歳になったばかりの最年少王室メンバーの自由奔放な行動が、「人気をさらった」と各国メディアが報じています。
Prince Louis steals the show at British queen's platinum jubilee celebrations
(ルイ王子が、英国女王「プラチナ・ジュビリー」の祭典で、人気をさらった:インドメディア)
steal the show:人気をさらう、話題を集める
まさに、「show」(ショー)を「steal」(盗む)という表現がぴったりの、ルイ王子の役者ぶり。バッキンガム宮殿のバルコニーでは女王の横に立って、観衆に向かって「変顔」をしたり、飛行機の爆音に顔をしかめて耳をふさいだりするしぐさが子どもらしさ満載で、「可愛すぎる!」と人々の目を釘付けにしたのです。
SNS上では王子のしぐさを切り取った動画が世界中に拡散。さらに、「キャサリン妃のしつけがなっていない!」と、王子のやんちゃぶりを批判する声に対して、擁護派との間でバトルが繰り広げられるなど、王室ファン以外も巻き込んだ展開に発展しているようです。
故ダイアナ妃が交通事故で亡くなった後、不人気ぶりが加速して「王室不要論」まで飛び交っていた英王室ですが、窮地に追い込まれたエリザベス女王を救ったのが、孫のウイリアム王子でした。今回、ルイ王子の登場で、英王室の人気がさらに高まったことは間違いありません。
チャールズ皇太子やアンドリュー王子など、自身の息子たちには苦労をかけられっぱなしのエリザベス女王ですが、きっと、4歳の新しい国民的スターの誕生を心から喜んでいることでしょう。
メーガン妃、なぜこのタイミングで娘の写真を公開?
ルイ王子の人気ぶりに、複雑な思いを抱いていると推測されるのが、メーガン妃とハリー王子です。式典に合わせて久しぶりに英国に帰国した夫妻でしたが、凱旋帰国とはほど遠く「誤算だらけ」だったと、複数のメディアが報じています。
バッキンガム宮殿のバルコニーなど、華やかな「舞台」への登場はことごとく「却下」されてしまった夫妻。唯一の公式セレモニーとなったセント・ポール大聖堂での感謝礼拝では、沿道からブーイングが浴びせられたばかりか、他の王室メンバーから明らかに「避けられて」いて、「nobody would speak to them」(誰も彼らと会話しようとしなかった)とまで報じられています。
さらに、夫妻にとって最大の「誤算」は、ちょうど1歳の誕生日を迎えた愛娘リリベットちゃんとのツーショット写真を、エリザベス女王から拒否されたことでしょう。米国生まれのリリベットちゃんと初対面したエリザベス女王でしたが、ひ孫とのツーショット写真については、「no chance」(ありえない)と却下したとのニュースが現地メディアを賑わせています。
メーガン妃とハリー王子には、米メディアのカメラマンが同行していたとの報道もあり、撮影した写真をネットフリックスや米テレビに流して、夫妻の「ビジネス」に利用されることを女王側が強く懸念した結果だと言われています。
それでも、「ツーショット却下事件」に懲りて、おとなしくしていないのがメーガン妃です。英国から帰国早々、リリベットちゃんの写真をいきなり公開して、世間を騒然とさせました。
なぜこのタイミングで、これまで公開していなかった愛娘の写真を公開したでしょうか......。一説によると、同じくエリザベス女王にとってひ孫のルイ王子が世界的なアイドルになったことで、メーガン妃のライバル心を刺激してしまった様子。
英王室の「戦い」は世代を超えて、ひ孫同士の「戦い」に発展してしまうかもしれません。
それでは、「今週のニュースな英語」は、「steal the show」(人気をさらう)」を使った表現を紹介しましょう。すばらしいパフォーマンスを称える表現で、ビジネスの場面でも使います。
She stole the show with her performance
(彼女は演技力で人気をさらった)
You stole the show
(すばらしいできばえだったよ)
Your presentation stole the show
(君のプレゼンで、話題をさらったね)
報道によると、「主役」になれなかったメーガン妃夫妻は、急遽予定をキャンセルして早々に英国を後にしたとか。残念なことに、一発逆転を狙った愛娘の写真公開で夫妻の人気が回復した気配は見受けられず、「ひ孫対決」はルイ王子に軍配が上がっているようです。
(井津川倫子)