パート主婦の夢「60歳から海外で働きたい」は無謀?希望アリ?で大激論! ユーチューバーというアイデアもあるが...専門家に聞いた(2)

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   アラフィフのパート主婦には夢がある。病気持ちの子どもを抱えてキャリアを失ったが、その子が成人する60歳ごろに「海外で働きたい」という夢だ。

   「60歳を雇ってくれるおススメの仕事は何ですか?」という投稿が賛否激論になっている。「その年では無理だ。就労ビザを取るのが難しい」と断念を勧める意見と、「夢に向かって頑張れ!」とさまざまなアイデアを出して挑戦を勧めるエール。

   女性が夢をかなえる方法はあるのか。専門家に聞いた。

  • 資格を身に着け輝きたい(写真はイメージ)
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「挑戦する人のみ成功の道が開ける」アメリカはどう?

   <パート主婦の夢「60歳から海外で働きたい」は無謀?希望アリ?で大激論! ユーチューバーというアイデアもあるが...専門家に聞いた(1)>の続きです。

   ほかに、投稿者の勉強熱心な様子から、一例として看護師の資格をとってはと勧める人もいた。

「一番お勧めで確実に海外生活できるのは、お子さんが落ち着いてから看護師の資格を取ることです。日本の企業の介護事業は海外展開していたり、日本の看護師資格で募集をかけていたりします。もちろん、そのままでは外国では看護師としての就労はできませんが。まずは、海外勤務の募集サイトで、どのような人が求められているか、けっこう年齢不問も多いのでご覧になったらいかが」

   また、海外行きのユニークなアイデアとして、クルーズ船スタッフを勧める人も。

クルーズ船スタッフになる方法も(写真はイメージ)
クルーズ船スタッフになる方法も(写真はイメージ)
「世界一周を旅行するクルーズ船のスタッフなどはどうかな、と思いました。外国で住める訳ではないけど、4か月くらいクルーズ船に乗って船の中で働く仕事です。英語能力は問題なさそうですし、日本企業だけじゃなくて、外国のクルーズ船でも通用しそうですね。外国のクルーズ船だと、船内は海外ですし...」

   もう一歩踏み込んで、移住する国として候補に挙がっていたのは、アメリカとオランダだ。こんな具合だ。

「アメリカであれば就職の際の年齢差別、人種差別など違法なので、日本のように履歴書に生年月日や顔写真はつけませんし、面接でも聞かれません。よって年齢は気にしなくていいと思います。(中略)アメリカでは人生は自分で切り開いていくもの、あきらめずに挑戦する人のみ成功の道が開けるという考え方なので、周りに応援してくれる人が必ず出てきます。応援しています」
「今まで6か国に住んで、数十か国に旅行などの滞在経験がありますが、外国人としてダントツに暮らしやすかったのはオランダのアムステルダムでした。物価は高いですが、ある程度清潔で、医療レベルも高く、英語も通じるし、何より移民がすごく多い国なので、外国人差別がホントに少ない。(中略)日本人も多く住んでいるので、日本食レストランやカフェも多く、そういう場所では日本人がたくさん働いていますよ」

50代女性の働く理由の1位は「社会との関わり」

投稿者には英語力はあるようだが...(写真はイメージ)
投稿者には英語力はあるようだが...(写真はイメージ)

   J-CASTニュース会社ウォッチ編集部では、今回の「60歳になってから海外で働きたい」という女性の投稿をめぐる論争について、女性の働き方に詳しいワークスタイル研究家の川上敬太郎さんに意見を求めた。

――投稿者の「夢」の訴えと、回答者たちのさまざまな意見を読んで、率直にどのような感想を持ちましたか。

川上敬太郎さん「長く家庭中心の生活を送ってきた女性が、60歳を超えてから海外移住して働きたいという希望は、一見すると突拍子もないことを言っているような印象を受けてしまうのかもしれません。しかし、回答者の多くは投稿者さんの希望を本気だと理解して、真摯に受け止めたからこそ、具体的かつ厳しい意見がたくさん寄せられているのではないかと思いました」

――50代までパートだった人が、60代から海外で働きたいというのが今回のテーマです。シニア世代になってからの転身、あるいは、大きく飛躍したいといった希望について、川上さんが研究顧問をされている働く主婦層の実態を調べる「しゅふJOB総研」で、これまで調査をしたことがありますか?

川上さん「仕事と家庭の両立を希望する主婦層が働く理由について、年代別に傾向の違いを調査したことがあります。
◇主婦が働く理由

この調査では、20代・30代は『子どもの教育費のため』が1位となっていますが、40代では2位に後退し、『今後の生活に不安を感じるため』(収入面)が1位です。さらに50代になると『子どもの教育費のため』は5位に後退し、1位になったのは『社会と関わり視野を広げたいため』でした。実に、74%がそう回答しています。
望ましい社会との関わり方は人それぞれ異なると思いますが、海外での就労経験があるという投稿者さんが50代・60代のキャリアを考えた時、海外移住して仕事することを望まれるのは、決して不自然なことではないように感じます」

KFCのカーネル・サンダースは65歳で事業を始めた

「挑戦する人のみが成功する」米国のニューヨーク
「挑戦する人のみが成功する」米国のニューヨーク

――投稿者が胸に秘めている大きな夢について、川上さんはどう思いますか。

川上さん「年齢がいくつであろうとも、夢を持つというのはすばらしいことだと思います。思えば、カーネル・サンダースは65歳でケンタッキー・フライドチキンを始めましたが、クルマにフライドチキンを積んでフランチャイズ募集の旅に出た時、1000回以上『ノー』と断られたと言います。伊能忠敬は50歳で隠居してから天文・測量の勉強を始めましたが、71歳まで日本全国を測量していたと聞きます。意志さえあればいくつであっても、夢を持つことに遅いということはないのではないでしょうか。
一方で、60歳くらいから海外就労したいという夢を持つ投稿者さんは、決してその年齢からの就労を希望していたわけではなく、病気を抱えるお子さんの育児をワンオペで行ってきた状況を踏まえると、夢を実現させるには60歳からにせざるを得ないということだと思います。そういうことは、家事育児のために自身の職業キャリアを犠牲にしてきた女性が、世の中にはたくさん存在することを象徴している事例でもあると思います」

――だからこそ、回答者のほとんどが投稿者に共感しているのですね。ただ、そこから就労ビザ取得の難しさや、年齢・健康面の不安を考えると、「あきらめたほうがいい」という人と、「こういう方法がある。挑戦しなさい」とエールを贈る人と2つに分かれます。

川上さん「『あきらめなさい』という意見は、非現実的な目標を夢想するのであれば、早く現実的な目標に切り替えたほうがいいはずだ、というアドバイスなのだと思います。しかし、実際にあきらめるか否かは、投稿者さんご自身の意志次第だと思います」

   今回の「60歳になってから海外で働きたい」という話題に対して、川上さんのアドバイスも熱を帯びました――。<パート主婦の夢「60歳から海外で働きたい」は無謀?希望アリ?で大激論! ユーチューバーというアイデアもあるが...専門家に聞いた(3)>にまだまだ続きます。

(福田和郎)

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