減速する中国経済、ロシアの侵攻は「一帯一路」にとって「吉」か「凶」か...習主席がウクライナの抵抗に衝撃受けた理由

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ロシア経済の疲弊で、中国がユーラシア大陸で台頭

ウクライナの首都キーウの郊外
ウクライナの首都キーウの郊外

   仮に、中国の「一帯一路」が破綻すれば、新興国を中心に深刻な世界経済の危機に直面するかもしれないというのだ。

   一方、逆にウクライナ危機が中国の経済的影響力を拡大させるかもしれない、と指摘するのは、同じ「21世紀政策研究所」研究委員の熊倉潤・法政大学准教授だ。

   「週刊経団連タイムス」(6月2日付)の熊倉氏のリポート「ウクライナ危機が中国の『一帯一路』構想に与える影響」によると、長期の経済制裁でロシアの地位が低下すれば、中国の一帯一路構想が旧ソ連・ユーラシア世界で一層発展する可能性が考えられる、という。

   その根拠を熊倉氏はこう説明する。

「まずロシアは、今後ますます中国との経済的結び付きを強めようとするだろう。ロシアの中国重視の姿勢は、ウクライナ侵攻以降、ますます顕著になりつつある」

として、今年4月、ロシア極東で行われた、中露間で初となる鉄道橋の完成式にトルトネフ副首相が出席した例をあげた。

「ウクライナも中国と経済関係を強める可能性がある。中国とウクライナとの関係は、従来概して良好であった。ロシアのウクライナ軍事侵攻に対し、中国はロシア寄りの姿勢をとっているとはいえ、ウクライナに対し敵対的ではない。それどころか、中国は早くも3月からウクライナに対し人道支援を表明するなど、友好的な態度を示してもいる。(中略)将来、ウクライナの戦後復興の過程で、中国の経済的影響力が、一帯一路構想を通じて同地に拡大する可能性は否定できない」

   さらにロシアが経済的に疲弊すれば、中国と国境を接する中央アジア諸国に対しても一帯一路構想が今後一層、求心力を得るだろうという。

「とりわけ中国と国境を接するキルギス、タジキスタンへの進出は、純粋に経済的なものに限られないかもしれない。ロシアが難色を示していたとされるマナス空軍基地(キルギス)の使用など、安全保障面での進出につながることも考えられる。中国のポテンシャルと今後見込まれるロシアの国力の後退を踏まえれば、旧ソ連・ユーラシア世界において、よりドラスティックな変化が起こることも想定しなければならないだろう」
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