証券会社「ポジティブな印象」も、原油・原料価格の高騰どう響くか?
関西ペイントは2010年に、南アフリカの塗料最大手を買収してアフリカに進出したものの、21年3月期まで6期連続で経常赤字が続いた。近年は拠点集約など効率化を進め、22年3月期に経常黒字に転じた。黒字化し、価値を高めたタイミングで売却することになる。
ただ、経常黒字化したものの経常利益率は3.9%で、全社ベースの9.0%には遠く及ばなかった。今後の海外事業は、スズキの現地子会社向けが強いインドや欧州の法人向け事業に注力する。
SMBC日興証券は6月2日配信のリポートで「ポジティブな印象」と評価した。モルガン・スタンレーMUFG証券は同じ日付で、関西ペイントの投資判断を3段階で最上位の「オーバーウエート」に1段階格上げし、目標株価も2000円から2200円に引き上げた。
株式市場は歓迎しているが、関西ペイントがウクライナ情勢などを受けた原油価格や原料価格の高騰という難題を抱えていることは、他の多くのメーカーなどと違いはない。また、注力するとしている欧州の景気が、今後低迷することも予想される。
コスト上昇分の販売価格への転嫁の進展度合いなどによっては、株価に影響する可能性もありそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)