2022年4月から、団員の年額報酬は標準額3万6500円に
そこでさらなる「切り札」として考えられたのが、「消防団員の処遇」の向上だった。
2021年4月13日、総務省「消防団員の処遇等に関する検討会」の中間報告書をまとめ、これを踏まえ、消防団員の報酬等の基準について、消防庁長官が都道府県知事及び指定都市市長に対して通知を行った。
消防団はボランティアのような存在と前述したが、消防団員は「非常勤特別職地方公務員」という準公務員と位置付けられている。このため、その活動については、出動手当、年額報酬などの報酬が支払われている。
消防庁長官の通知では、出動手当を「1日7時間45分を基本とし、予備自衛官等の他の類似制度を踏まえ、8000円を標準的な額とすること」とし、年額報酬は「予備自衛官を参考としつつ、団員階級の者については年額3万6500円を標準的な額とし、団員より上位の階級にある者等については、市町村において、業務の負荷や職責等を勘案して均衡のとれた額となるよう定めること」とした。
この基準は2022年4月1日から適用された。その結果、年額報酬3万6500円以上とした消防団数は2020年度の492団体から1188団体に増加し、全体1720団体の69.1%となった。
また、支給の対象業務、方法、金額がバラバラだった出動報酬は、8000円以上とした団数は1113団体となり、全体の64.7%となった。
消防団員が実際には年に1度も消火活動を行うこともなく、それでも年額報酬や訓練に出動手当が支払われることに批判的な見方もあるだろう。
しかし、消防団が重要な責務を担っている地域があることは確かだ。
本当に消防団が必要な地域で団員が十分に確保でき、十分な活動が行えるように、引き続き、処遇だけの問題ではなく、消防団のあり方を考えていく必要があるだろう。