「投機筋」の動きも円安を加速
「投機筋」の動きも円安を加速させている可能性があると指摘するのは、住友商事グローバルリサーチのシニアエコノミスト鈴木将之氏だ。
鈴木氏のリポート「20年ぶりの円安・ドル高」(6月6日付)の中で、さまざまな円安要因を説明しながら、こう述べている。
「足元では、投機筋が対ドルで円を売り越している動きと、ドル円相場が円安・ドル高方向に推移してきたことが符合しているようにみえる。実際、米商品先物取引委員会(CFTC)のIMM通貨先物の非商業部門(投機筋)をみると、円は対ドルで2021年3月中旬から売り越しとなり、2022年3月下旬以降売り越し幅が10万枚をおおむね超えており、円安・ドル高圧力になっている。(中略)もう一段売り越し幅が拡大し、円安・ドル安圧力になる可能性も否定できない」
IMM通貨先物とは、米国のシカゴ・マーカンタイル取引所に上場する商品で、国際通貨の先物市場のこと。公表されるデータの中には、いわゆるヘッジファンドなど「投機筋」の動向も開示される。相場の先行きを予測する指標として、世界中の投資家が注目しているものだ。
鈴木氏は、
「急激に進んだ円安・ドル高に対して、円安デメリットの声が大きい。例えば、日本商工会議所『商工会議所LOBO(早期景気観測)』(2022年4月調査)によると、55.3%がデメリット、1.2%がメリットと回答した。世界情勢を踏まえると、年初に比べて円安・ドル高方向でドル円相場が推移するとみられ、円安への対策が急務だ」
と、訴えるのだった