仰天!「家計は値上げを受け入れている」...黒田日銀総裁発言にエコノミストがノー!「消費者の一種のあきらめの心境だ」

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値上げを当然のものとして受け入れる「値上げ許容度の向上」というよりも...

   物価上昇に実質賃金が追いついていない状態で、家計の値上げ許容度が高まったといっても人々の暮らしはよくならない、と指摘するのは野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。

   木内氏のリポート「家計は値上げを受け入れているのか? 日銀は政策修正で物価安定へのコミットメントを示すべき」(6月7日付)では、潜在成長率と所定内賃金上昇率のグラフを示し、いかに現在の「悪い物価上昇」が家計の逆風になっているかを明らかにした=図表参照

(図表)潜在成長率と所定内賃金上昇率(野村総合研究所の作成)
(図表)潜在成長率と所定内賃金上昇率(野村総合研究所の作成)

   木内氏によると、潜在成長率は所定内賃金上昇率の上限を決める。図表のように、潜在成長率がどんどん下がっている現状では賃金はあがらない。そうした中で、生鮮食品を除く物価上昇率が2%を超えた状況は、人々の暮らしにとって大きな逆風だ。

「家計の値上げ許容度が高まっていることが、持続的な物価上昇の実現にとって重要な変化、と黒田総裁が説明したことに、強い違和感を持った個人も少なくなかったのではないか。簡単に言えば、個人が感じているのは実質賃金上昇をもたらすような『良い物価上昇』ではなく、消費に大きな打撃を与える『悪い物価上昇』だからである」

   そして、こう結ぶのだった。

「アンケート調査で、価格が上昇しても他店に移るとの回答比率が低下したのは、エネルギー・食料品を中心に、幅広く一斉に価格が上昇しており、もはやどの店でも安く買うことができない情勢になってきた、との消費者の考え方の変化を反映しているのではないか。それは、値上げを当然のものとして受け入れる『値上げ許容度の向上』というよりも、消費者の一種の諦めの心境を反映しているようにも見える。それは決して『良い物価上昇』ではなく、『悪い物価上昇』である」

(福田和郎)

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