30歳のあなたに1億円が舞い込んできたら...資産を増やすには「果実を生むモノ」を購入すること【その4】(小田切尚登)

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株式投資のスゴさ!

   これについては「リーマンショック後のこの時期の相場がたまたま好調だったからの話で、ふつうはこんなに増えないのでは?」という反論があり得るだろう。

   大丈夫。ビレッロ氏はそれも出している。1928~21年の期間の株式(SPY)のリターン(増加率)のメディアン(中央値)の数字だ。1928年からの100年近くのデータを取ったものである。この間には1929年の世界恐慌のような最悪の時期も含まれているので、より普遍性の高いデータだといって良いだろう。

   保有期間ごとのトータルリターンを見るとこうなっている

1か月  3.3%
6か月  7%
1年   13%
5年   72%
10年  164%
15年  353%
20年  742%
30年  2191%

   米国の大企業の株式を10年保有していたら2.6倍に、20年で8.4倍、30年で22.9倍になったということだ。過去100年近くの期間の中央値であるのでかなり信頼性の高いデータだと言って良いだろう。

   もちろん、これは中央値であるので、半分はこれより劣る。運が悪ければ大きく下落する場合だってあることに注意する必要がある。また、今までのパフォーマンスが良かったからといって今後も必ず良くなるという保証はない。

   しかしそれでも、これが株式投資のすごさを端的に示しているデータであることは間違いないところだ。

   最後に、果実を生まないモノへの投資についてもふれておこう。

   金や原油や骨董品...... は果実を生まない。金を買ったら金がそのままあるだけであり、利息や配当はつくことはもちろんない。これらのものの価格は状況によって上がったり下がったりするが、複利効果はないので、長く持っていることで価格が当然のように大きく上がっていく、といったことはない。

   なので、これらを投資の中心に据えることを私は推奨しない。しかし、これらの投資にもメリットがある。

   たとえば株式が暴落するタイミングには、こういうものの価格は堅調である場合が多い。株式や不動産などとは価格変動のパターンが異なるということだ。そのためこれらの資産をある程度持っているとリスク分散になる。

   このメリットをどうとらえるかによって、これらのモノをどの程度ポートフォリオに含めるかどうかが決まる。

(小田切尚登)

「30歳のあなたに1億円が舞い込んできたら」シリーズは、こちら。
30歳のあなたに1億円が舞い込んできたら...真剣に考えたことある? いくら運用にまわす【その1】(小田切尚登)
30歳のあなたに1億円が舞い込んできたら...成功する投資家の理想的な姿はこれだ!【その2】(小田切尚登)
30歳のあなたに1億円が舞い込んできたら...投資に向いているタイプとそうでないタイプ【その3】(小田切尚登)
30歳のあなたに1億円が舞い込んできたら...資産を増やすには「果実を生むモノ」を購入すること【その4】(小田切尚登)

小田切 尚登(おだぎり・なおと)
小田切 尚登(おだぎり・なおと)
経済アナリスト
東京大学法学部卒業。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバなど大手外資系金融機関4社で勤務した後に独立。現在、明治大学大学院兼任講師(担当は金融論とコミュニケーション)。ハーン銀行(モンゴル)独立取締役。経済誌に定期的に寄稿するほか、CNBCやBloombergTVなどの海外メディアへの出演も多数。音楽スペースのシンフォニー・サロン(門前仲町)を主宰し、ピアニストとしても活躍する。1957年生まれ。
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