30歳のあなたに1億円が舞い込んできたら...投資に向いているタイプとそうでないタイプ【その3】(小田切尚登)

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投資に向いている人はこんな人

   さて、今度はネガティブな話からポジティブな話に話題を移そう。相場が上向いたときに、いかにうまくその波に乗っかっていくかということだ。

   株価は企業業績の鏡であり、マクロ的には国の経済動向を反映している。つまり景気の良い時には、株価も不動産価格も大きく上がる可能性があるということだ。

   日本経済はこのところ停滞しており、株価も低迷していたので、前向きなシナリオを実感することは難しかった。しかし米国の経済は成長してきたので、株価は上昇してきた。

   前述の米株価指数S&P500は、2011年から22年4月28日までに累積で4.2倍に増えた。年利に換算すると13.6%の増加率である。好景気が持続したことがその背景にある。ハイテクやバイオを中心に、さまざまなイノベーションがどんどん起きてきたこと、米国民の消費意欲が強い状態で推移したこと、中国をはじめとする新興国とのビジネスが膨らんだことなどが貢献した。

   米国では不動産も上昇してきた。米国の不動産価格は2011~22年までに累積で3倍以上、年利で10.3%増えた(不動産ETFのVNQのデータによる)。加えて、株式も不動産も円ベースで考えたら、円安(ドル高)なのでさらに増えている。

   今まで好調に推移してきたのはわかったが、今後どうなっていくかが我々の関心事である。前述のように半額になるような事態も当然あり得る。

   しかし、中長期的には今後も株価は上がっていくと見てよいのではないか。科学技術は発達し、生産性は向上していくだろう。先進国も途上国も人々はさらに豊かになっていくだろう。企業収益が上がっていけば、株価もそして不動産の価格も、短期的には紆余曲折があるとしても、中長期的には上がっていくと考えて良いだろう。

   そうであれば、株式市場に投資しない手はない、ということになる。というよりも、投資というのはそういうふうに将来を楽観的に考えられる人がするものだ。先に明るい未来があると思えるからこそ、長い年月をかけて投資で増やしていくことを考えるようになる。

   「基本的には楽観的であり、一定程度のリスクを取ることは厭わない。でも天真爛漫ではなく、適度な注意深さを有している」...... こういう人が投資に向いている。

   そういう人が、過度なリスクをとることなく、しかし相場が良い状況では上昇気流には乗れるような「イイところどり」ができるポートフォリオの構築をする。そうすれば、真の成功者になれるであろう。

(小田切尚登)

「30歳のあなたに1億円が舞い込んできたら」シリーズは、こちら。
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小田切 尚登(おだぎり・なおと)
小田切 尚登(おだぎり・なおと)
経済アナリスト
東京大学法学部卒業。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバなど大手外資系金融機関4社で勤務した後に独立。現在、明治大学大学院兼任講師(担当は金融論とコミュニケーション)。ハーン銀行(モンゴル)独立取締役。経済誌に定期的に寄稿するほか、CNBCやBloombergTVなどの海外メディアへの出演も多数。音楽スペースのシンフォニー・サロン(門前仲町)を主宰し、ピアニストとしても活躍する。1957年生まれ。
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