NHKの受信料値下げにつながる改正放送法が参議院本会議で2022年6月3日、可決・成立した。
「受信料値下げ」ではあるが、受信料を支払わないと割増金を徴収するなど、さらに受信料制度を強化した内容だ。
英国やフランスでは公共放送の受信料を撤廃する動きがトレンド。ネットでは「NHKをスクランブル化に」と怒りの声も起こっている。
値下げにあたっては地上波よりも衛星放送優先
NHK受信料の値下げ原資を確保するための積立金制度の創設などを盛り込んだ放送法と電波法の改正法が3日の参院本会議で可決、成立した。正当な理由なく受信料を支払わない世帯への割増金の徴収も可能となる。
報道をまとめると、成立した改正放送法の主な内容は次の通りだ。
(1)NHK受信料の値下げの原資とする「積立金制度」を導入する。
(2)テレビを持ちながら、正当な理由なく、期限までに受信契約の申し込みを行わない世帯に対し、NHKが新たに割増金を徴収できる制度を導入する。
(3)子会社の業務の効率化を図るために、NHKが中間持株会社を新たに保有できるようにする。
(4)民間の放送事業者の外資比率が20%以上になると、違反状態になるが、直ちに認定取り消しとせず、是正させる猶予措置を設ける
などだ。
重要なのは(1)の受信料値下げにつなげる「積立金制度」だが、NHKの収入が支出を上回った場合、一定額をプールする仕組み。これまでの国会論議などでは、年間受信料収入の1割に当たる700億円程度の原資を確保し、2023年度に受信料を下げる計画で、今年秋に具体的な内容を示すという。
NHKの前田晃伸会長は昨年2月の記者会見では、「衛星契約は割高感があり、地上契約との格差をまず解消するのが先」と発言。値下げにあたっては、地上波よりも衛星放送を優先する方針も示している。