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骨太文書から減った「感染症」、増えた「投資」「安全保障」

   一方、経済財政諮問会議から示された「骨太方針」(経済財政運営と改革の基本方針)原案の中にあるキーワードの数から、「新しい資本主義」の本質を探るというユニークなアプローチを試みたのが、第一生命経済研究所主任エコノミストの星野卓也氏だ。

   星野氏のリポート「骨太方針2022のポイント(総論編)~中長期的・計画的財政支出を拡大。『大きな政府』の号砲が鳴った~」(6月1日付)の中には、骨太方針の2021年と2022年の文書のワードクラウドを比較した図が登場する(図表2参照)

(図表2)骨太方針の文書のワードクラウド(第一生命経済研究所の作成)
(図表2)骨太方針の文書のワードクラウド(第一生命経済研究所の作成)

   ワードクラウドとは、文章中で出現頻度が高い単語を多く選び出し、その頻度に応じた大きさで図示する手法だ。その文書が何を目指し、何を主張しているのか、本質をズバリ視覚的に表現することができる。この図を分析しながら、星野氏はこう指摘する。

「まず、2021年はトップワードであった『感染症』の出現頻度が大きく減少(2021年:97回⇒2022年14回)。新型コロナの落ち着きともに骨太内での出現頻度が減っている。今回の骨太では『投資』(42回⇒92回)の出現頻度が大きく増加したことも特徴。積極的な政府投資を掲げる内容になっている(中略)また、『安全保障』も増加(20回⇒39回)。ウクライナ情勢の緊迫化等に伴い、より多くの紙幅が割かれている」

   また、骨太方針の原案中の「経済あっての財政であり、現行の目標年度により、状況に応じたマクロ経済政策の選択肢がゆがめられてはならない」という、やや言い訳めいた表現を紹介しつつ、こう結んでいる。

「骨太方針は『これまでの財政健全化目標に取り組む』としており、政府の掲げてきた2025年度の基礎的財政収支黒字化目標は生きている形になっている。しかし、骨太方針を通して『経済優先』のトーンは強まっている。骨太内で度々訴えられている『単年度主義の弊害是正』と2025年度基礎的財政収支黒字化目標は基本的にバッティングする概念だ。財政再建目標の優先順位は事実上低くなったと考えられる」

   経済を優先する傾向が強まり、財政再建のトーンがはっきり弱まっていることに懸念を示すのだった。

(福田和郎)

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