退職率増加に懸念...キャリア官僚は不人気職業?
懸念されるのは、2013年度に比べ、在職10年未満の退職率も、在職3年未満の退職率も増加している点だ。
筆者は、2022年5月9日の「『国家公務員総合職』採用試験6年ぶり増加&女性割合は過去最高41%...だが、申込者数低迷は変わらず『官僚離れ』深刻(鷲尾香一)」で、キャリア官僚を目指す大学生が低下の一途を辿っていることを取り上げた。
この中で、かつて、国家公務員上級職として「キャリア」と呼ばれ、「天下国家のため」に日本の中枢で、国家を動かす仕事を望み、キャリア官僚を目指した頭脳明晰な若者がいた時代は過ぎ去り、長時間労働などが敬遠されて、すっかり大学生の不人気職業に成り下がってしまった、と述べた。
同様に、キャリア官僚の退職が増加している点も、「公僕」として国を支えていこうという人材が減少していることの表れのように見える。
もちろん、国家公務員に限らず、地方公務員も含め、公務員の数や職務内容、働き方などにはさまざまな議論があり、「公務員が多すぎる」という指摘もある。
しかし、民間企業とは違い、国家公務員は国民に奉仕することが仕事であり、国民生活を維持していくうえで重要な役割を担っている。仕事にやりがいを感じ、奉仕の精神を持った国家公務員、キャリア官僚が増えることを望むばかりだ。