2年ぶりインバウンドに期待と不安! エコノミストの注目は「地方」...「ごみゼロ運動」観光資源に ポストコロナの新しい挑戦

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円安効果で「安い日本」の魅力を世界にアピール

   さて、エコノミストたちはどう見ているのか。円安によってコロナ禍以前よりよりも大幅に「安い日本」になった利点を大いに活用すべきだ、と指摘するのは第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏だ。

   熊野氏はリポート「訪日観光の再開では「安い日本」が魅力~コロナ前よりマイナス26%も日本円が割安に~」(5月31日付)のなかで、いかに円安のおかげで外国人にとって日本の物価が安くなり、観光客を呼びやすくなったか、グラフで示している=図表1参照

(図表1)日本の物価水準の変化率・コロナ禍以前との比較(第一生命経済研究所の作成)
(図表1)日本の物価水準の変化率・コロナ禍以前との比較(第一生命経済研究所の作成)

   グラフは、円がすべての通貨に対して、どのくらい割安になったのか、実質実効為替レートの2019年平均と2022年4月の変化幅から計算したものだ。

「(全通貨の平均で)円の購買力が実にマイナス26%も下落していた。これを解釈すると、仮に訪日客を全面解禁した場合に、日本の観光のコストがかなり安くなったことで、日本観光が大きな価格競争力を持つことを示唆している」

   ただし、問題がある。図表2はコロナ禍以前(2019年)の訪日外国人の国別内訳だが、中国と韓国が突出して多いことがわかる。現在、この2つの国との関係はあまりよくない。

(図表2)コロナ禍以前(2019年)の訪日外国人の国別内訳(第一生命経済研究所の作成)
(図表2)コロナ禍以前(2019年)の訪日外国人の国別内訳(第一生命経済研究所の作成)
「中国は日本からの入国者に、2週間の隔離期間、1週間の健康観察を求めている。まだ日本観光はできない状態である。(中略)一方、韓国に対しては、政治環境の変化が訪日ビジネスに大きなチャンスをもたらす可能性がある。政権交代が実現して、現在は雪解けのムードが生じている。以前の政権は、そうした融和ムードがなく、訪日客も停滞することが数年続いていた。今後は、訪日観光を盛り上げることを通じて日韓が経済的利害を一致させて、日韓関係を正常化していくチャンスだと考えられる」

   また、熊野氏は変化の潮目になっているからこそ、コロナ禍以前とは違った、野心的な観光ビジネスを生み出すべきだと強調した。

「訪日客数が2019年の水準にまで近づくと、再びオーバー・ツーリズムが問題視されると思う。以前も『このまま訪日客数が増え続けると、観光地の雰囲気が崩れる』という嘆きの声を聞いた。だから、今後の観光政策は、人数だけを追求することはせず、1人当たりの宿泊日数を増やし、訪日客の中でリピーターを増やすなど、質的変化をもっと積極的に追求するようにしてはどうかと考える」
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